新・ことば事情
7119「辣腕と辣油」
カルロス・ゴーン被告の弁護を引き受けることになった弘中惇一郎弁護士、さっそくゴーン被告の保釈に成功して、その、
「らつ腕ぶり」
を披露しました。さて、この「らつ腕」を漢字で書くと、
「辣腕」
です。「辣」は難しい漢字。
当然、常用漢字ではない「表外字」ですね。だから普通は「交ぜ書き」にして、
「らつ腕」
と書くのですが、どうしても漢字で書きたいときには「ルビを振る」ことになります。
この「辣」という漢字、どこかで見た気がします。。。。そう、あの「餃子」に入れる、
「辣油」
です!これも「表外字」なので、
「ラー油」
と書かれることも多いでしょうが、同じ字ですよね。ということは、「辣腕」というのは、その実力(=腕)が、「ラー油(辣油)」のように、
「ピリリと辛い」
ということですね。「辣」という字は、
「棘(とげ)」
にも似ていますね。共に「とげとげ」して「ピリピリ」して、神経・舌を刺すような感じです。あ、「棘」は「刺」と「へん」が同じだ!そう、つながりますかあ。
そうそう、
「辛らつ」
という熟語も漢字で書くと、
「辛辣(しんらつ)」
です。これも意味は、
「発言が辛口で、ヒリリ、ピリピリした様子」
を指しますよね。結構、この「辣」という漢字は、活躍している字なのだなあと思いました。