新・ことば事情
7095「達陀帽いだかせ」
3月15日のNHKのお昼のニュースの関西ローカル(大阪局発)で、お水取りが終わったばかりの奈良・東大寺二月堂で、
「達陀帽いだかせ」
という行事を紹介していました。「達陀帽」は、
「だったんぼう」
と読むそうです。看護師の「戴帽式」のようなものかな?
赤ちゃんに「達陀帽」を被せると元気育つという行事だそうで、
「泣き相撲」
みたいなものかなあ。
この「だったん」は「達陀」と書くようですが、一般的には、
「韃靼」
と書く「だったん」のことですよね。
「だったん」と聞いて思い出すのは、やはりボロディン作曲のオペラ「イーゴリ公」から、
「韃靼人の踊り」
と、大阪府堺市の三国丘高校出身の詩人「安西冬衛」の「春」と題した短い詩、
「てふてふが一匹 韃靼海峡を 渡って行った」
ですよね。
「韃靼人」で検索してみたら「タタール」が出て来ました(「韃靼人」から転送と)
それによると、
「出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タタール(Tatar)は、北アジアのモンゴル高原とシベリアとカザフステップから東ヨーロッパのリトアニアにかけての幅広い地域にかけて活動したモンゴル系、テュルク系、ツングース系およびサモエード系とフィン=ウゴル系の一部など様々な民族を指す語として様々な人々によって用いられてきた民族総称である。日本では、中国から伝わった韃靼(だったん)という表記も用いてきた」
だったん、だそうです。
ということは、奈良の東大寺では当時この「達陀帽」は、
「シルクロードを通って達陀(韃靼・タタール)から伝わって来た舶来もの」
だったん、だな!と、ちょっと驚いたのですが、
「正倉院の宝物」
もシルクロード経由なのですから、特に驚くには当たらないのかもしれません。
と、これをここまで書いた翌日、たまたま「ワイン会」があって、そこで出された料理に、
「タルタル風」
の物がありました。そう、
「タルタルソースのタルタル」
です。
「この『タルタル』は『タタール=韃靼』から来ているのですよね?」
とレストランのソムリエの方に伺ったら、
「ちょっと不勉強で・・・シェフに聞いてまいります」
と一旦、厨房に下がってから、戻って来て、
「おっしゃる通りです。タタールでは『馬の肉』を使ったそうですが。」
とのことでした。
「韃靼」「タタール」「タルタル」
に触れることができた週末でした。