新・ことば事情
7087「特攻服」
3月14日の日本テレビ「スッキリ」で、毎年中学校の卒業式が開かれるこの時期になると、岡山駅前に「特攻服」と呼ばれる刺繍がいっぱいされた服を着た卒業生たちが集まって騒ぐという話題を取り上げていました。「平成ことば事情7086岡山のアクセント」にも書きましたが。
その中の、
「特攻服」
という言葉が「カギカッコ」もなしに使われているのが気になりました。それは、戦時中の「特攻隊」が着ていた服というのではなく、
「1970~80年代に暴走族などが着ていた、刺しゅうなどが施された学生服(長ラン)のような服のこと」
をいうのでしょうけど、辞書に載っているのかな?
『三省堂国語辞典』を引いてみたけど、さすがに載っていませんでした。「俗語」ですよね。ネット検索してみたところ、
「特攻服から見える不良ファッションの思想と歴史」(岩橋健一郎)
という文章が載っていて、
その岩橋氏によると、
「特攻服の発祥は、1970年代初めに東京都内の暴走族『M』が、右翼団体が着ていた『隊服』を取り入れたのがハシリ」
で、80年代までの特攻服には「憂国烈士」といった、
「右翼系の言葉が刺繍されていた」
ものが多かったと。当初は、
「戦闘服」
などと呼んでいたが、時代が進むにつれて、
「特攻服」
というふうに呼び名が変わったそうです。
岩橋氏自身も1980年代に「特攻服」を着ていたそうですが、この服を着る人は、次第に右翼的な思想性は薄れ、平成(1989年~ )に入ってからの暴走族は、
「『右翼系』から『仁侠系』」
に変わっていき、「◯◯一家」というような刺繍文字を入れるようになったそうです。
その後は、自由度も高く「俺の息子は暴れん棒」のような"個性豊かな刺繍"も増えていると言います。
刺繍代が高いだろうなと思うのですが、刺繍をたくさん入れるのが主流なので、
「一着20万~30万円はザラ」
で、「スッキリ」で出ていた人(顔はモザイク)の「特攻服」は、
「50万円もした」
そうです。一体誰が金を出しているのだろう?アルバイト?中学生が??
親が出してやってるのかな???
疑問は尽きません。