新・ことば事情
7085「祖国と母国」
去年(2018年)11月25日に見ていた「そこまで言って委員会NP」で、
「『李香蘭』こと『山口淑子さん』」
を取り上げていました。その山口さんの言葉として、
「祖国・日本、母国・中国」
というのがありました。
この「祖国」と「母国」はどう使い分けられているのでしょうね?
・・・・・・
あれから4か月。
ハタと、ひらめきました。
「祖国」=通時的・縦糸
「母国」=共時的・横糸
ではないでしょうか?
頭の中では、中島みゆきさんの♪「糸」のメロディーが流れています。
「♪たーてのいとーはーあーなた~、よーこのいとーはーわーたしから」
「母」と「祖」を比べてみました。
「母校」はあるが、「祖校」はない。
「祖父・祖母」「祖父母」とは言えるが、「母父・母母」「母父母」とは言えない。
「祖先」とは言うが、「母先」とは言わない。
「祖」には「性別はない」が、「母」には「性別がある」。
「母体」とは言うが、「祖体」とは言わない。
「母国」「母校」の「母」は「産んだ」という意味。
「祖国」の「祖」は「元をたどると」と言う意味では?
普通は、「祖国と母国が一致する人」が多い。
しかし、たとえば、
「アメリカで生まれた『ドイツ系アメリカ人』」
の場合を考えると、「祖国」はドイツで、「母国」はアメリカ。
2世、3世になると、「祖国」と「母国」の違いが際立つのではないか?
こんなことを、この週末、考えていました。
「♪糸」が頭の中でずっと鳴っていました。
(追記)
思い付きのメモ(メール)が出て来ました。3月3日のものです。
「『祖国』は歴史、すなわち過去を含む。『母国』は現在。」
あ、上に書いたことと同じだね、基本的には。
(2019、3、26)