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『道浦TIME』

新・読書日記 2019_029

『辞書編集、三十七年』(神永暁、草思社:2018、12、10)

小学館で、日本最大の国語辞典『日本国語大辞典・第二版』等、辞書の編集者として、定年まで37年を勤め上げた神永さんの「自伝」と言って良い一冊。

「37年、スゴイ!!」

と思ったが、よく考えると私も、もう35年、この仕事を続けているのだから、「ちょっとだけ先輩」という感じかな。こないだから読み始めた、ナレーターの久米明さん(95歳)の本『僕の戦後舞台・テレビ・映画史70年』(2018年、河出書房新社)は、「70年」だから、それから言うと、まだ道半ば・・・。

神永さんの本は、これまでにも何冊か読んで来たが、それは「言葉」「日本語」に関して書かれたものだったが、この本はタイトルにある通り「辞書編集」という仕事に関して書かれた本である。

「辞書を編む」の内側、という意味で言うと『三省堂国語辞典』の編纂者「飯間浩明さん」の各種の本があるが、飯間さんは「編纂者」。神永さんは、その編纂者の先生たちをまとめる、出版社側の「編集者」という立場の違いがあり、両面からの話を読むことで、立体的に「辞書作り」という仕事の内容が浮かび上がって来る。

神永さんは、本を読めばわかるが、結構「クセ」のあるお人柄で、過去にいろいろ対立があった人たちについても、実名こそ出していないが具体的に書かれている。こういうのを辞書編集者が書くのは珍しいのではないだろうか?

現在は、自らもコラムや本を書かれる立場で、また次の本が待ち遠しい。


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(2019、2、22読了)

2019年3月 8日 18:39 | コメント (0)