新・読書日記 2019_035
『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』(中原淳+パーソナル総合研究所、光文社新書:2018、12、20第1刷・2019、2、20第5刷)
ここ数年の「働き方改革」と、それを法律的に後押しするために、この4月からの「改正労働基準法」の施行を控えて、管理職としては「働かせ方」つまり「残業」に関する意識改革が求められています。(一般社員は「働き方改革」。)
そのためにも、この本を読んで勉強弁こうしようと思いました。もう「残業」は「学問」になっているんですね!
「働くとは何か?」
という根本問題について考えることが、私は必要だと思いますが。
この本は、「ゼミ」みたいに、学生の質問に先生が答えるような形で各章が進行しますので、読みやすかったです。
中でも、欧米と日本との働き方の違いで、日本は終身雇用制を保つために「内部労働市場型」を採用し、欧米は「外部労働市場型」であると。日本はそれを欧米のような「外部労働市場型」に変更しようとして、なかなかうまく移行できなくて悩んでいるという説明は、腑に落ちました。そもそも「外部労働市場型」が日本社会に合っているのかどうか?という疑問は残ります。
「内部労働市場型」は、各企業(会社)が新入社員を正社員として取り、その人たちを会社の内部で育てていく形(終身雇用制)で、不況の折は残業が減り、好況の(景気が良い)時は残業が増えるという形で、失業者を減らし企業内で労働力の調整を図るというもの。
それに対して「外部労働市場型」は、企業と労働者の結びつきは弱いが、「その職種のプロ」として、1つの会社で仕事がなくなっても、同じ職種の別の会社で雇ってもらえるというような、転職が比較的的自由な働き方です。その職種のプロは「ギルド」のようなものを組織するかもしれません。そっちの方が、「日本の企業のような結びつき」は強いのかも。
最近の日本が、国全体の雇用形態をそういう方向へ進めようとしているのは、テレビのコマーシャルでも「転職サイトなどのコマーシャル」が多いことを見ても、容易に想像がつきますね。どっちがいいのか?うーん、日本は「外部労働市場型」に全部しちゃうと、上手くいかないような気がするんだけどなあ・・・。
そんなことなどを考えさせられた一冊でした。