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『道浦TIME』

新・ことば事情

7067「降りる時に」

国際大会6連勝を果たしてオランダから帰国したフィギュアスケートの紀平梨花選手。空港でインタビューに答える中で、

「降りるときに」

という言葉がありました。「降りる」という文字でコメントフォロースーパーが出ていたのですが、

「降りる」

で正しいのか?

「下りる」

ではないのか?と思って用語集などをめくったけど、そのままの用例は載っていませんでした。そこで自分で考えたところ、この「おりる」は、

「スケートリンクにおりる」「氷の上におりる」

ですよね・・・そうか、そうだ!

*「降りる」=降り立つことが目的。

*「下りる」=上から下へ向かう動作を表現。

という違いがあることに気付いたのです!

もう少し詳しく、用語集に書いておいてほしいなあ。

(2019、2、27)

2019年2月27日 20:09 | コメント (0)

新・ことば事情

7066「挙杯」

「天皇陛下御在位三十年記念式典」における「乾杯」は、

「挙杯」

と言うそうです。これを「ミヤネ屋」のADが、

「これって『カンパイ』じゃなくて『ケンパイ』で良いんですかねえ?」

と言ってきました。

「え?『ケンパイ』?『挙杯』は『キョハイ』って読むんだよ。『ケンパイ』は「献杯」と書いて、亡くなった方に捧げる乾杯のことを言うんだから、御在位三十年の記念式典で『ケンパイ』なんて言うわけ、ないじゃない。気を付けてよ!」

と注意しました。

でも「献杯」はダメですが、「乾杯」でもいいような気がしましたけどね。

(2019、2、27)

2019年2月27日 20:08 | コメント (0)

新・読書日記 2019_023

『Jリーグ全選手名鑑2019』(日刊スポーツマガジン:2019、2、14)

「プロ野球選手写真名鑑2019」と同時に購入。発売は1日早いんだ。先にプロ野球ので、どれがいいかを見て、それと同じ出版社の物にしました。

サッカーも最近、生で試合を見ていない。去年は久々に、日本代表戦は見に行ったけど、それ1試合だけだし。

これの購入理由も「フリガナの文字の見やすさ(大きさ)」でした。どれも名鑑は似たり寄ったりだけど、やはり「見やすさ」を基準にしますね。

Jリーグはすでに2019年のシーズンが開幕しました!

(☆4つ)


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(2019、2、25購入)

2019年2月26日 21:56 | コメント (0)

新・読書日記 2019_022

『プロ野球選手写真名鑑2019』(日刊スポーツマガジン:2019、2、15)

毎年この時期に出る選手名鑑。「仕事用」に購入する。最近は本当にプロ野球を見なくなって、どんな選手がいるのかもよくわからないというのが実情だが、年に一度、この時期だけは少しワクワクする。だって、まだペナントレースが始まってないし、各チーム間違いなく「横一線」だしね。こういった小さな冊子の記録コーナーを見て、思い出にふけったりします。類似の選手名鑑はいくつかあるが「購入の決め手」は、「選手名の字の大きさ」と、選手名に「大きな平仮名でルビが振ってある」こと。読み方がわかりますからね。重要!カッコ付けて(?)「アルファベット」で書いてある名鑑もあったが、読みにくいでしょ、それは。若者向けなのかな?文字が小さいと老眼で見えないんですよ。これは一番お勧めでした。でも、選手の名前などが大きい分、監督やコーチの欄は、写真もなく、文字も小さかったですけどね。選手ファーストで。


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(2019、2、25購入)

2019年2月26日 21:54 | コメント (0)

新・読書日記 2019_021

『もっと言ってはいけない』(橘玲、新潮新書:2019、1、20)

前著『言ってはいけない』の続編。

大きく言うと「遺伝」の話。

人間の性格や能力は、「遺伝」と「環境」のどちらが優勢か?

これを「遺伝」と言ってしまうと、遺伝的に優秀な人たちは孫子の代までずっと優秀で、優秀でない人たちは孫子の代まで優秀ではないということになって、努力する人がいなくなってしまう。ダメな人に教育しても「無駄」ということで「教育の否定」につながる。だからそれは、

「言ってはいけない」

ことだった。

しかし著者は、「環境」の影響ももちろん認めながらも、「遺伝」の持つ要素の強さに関して語る。

プロローグの「日本語の読めない大人たち」はショッキングだ。

OECD主催の学力の国際調査「PIAAC=ピアック」で、16歳から65歳の成人を対象として、社会生活において成人に求められる「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野のスキルの習熟度を測定するもの。24か国・15万7000人を対象に行われた。

それによると、日本の順位は意外なことに各分野とも「1位」なのだ!

やっぱり日本人はスゴイ!と、ネトウヨのように喜ぶ前に、著者はこう続ける。

「日本ではレベル3の問題(本のタイトルと著者名を一致させる)ができない成人が27.7%いる。レベル4の問題(設問と本の概要を比較する)ができない成人はなんと76.3%だ。」

「なぜこんなことになるかというと、やり方がわからないからではなく設問の意味が理解できないからだろう。日本人の3割は、むかしから『教科書が読めない子どもたち』だった。そんな中高生が長じて『日本語が読めない大人』になるのは当然なのだ。」

また、「ITを活用した問題解決能力」の「レベル3」に設問例は、

「会議室予約の申込みメールの処理」

だ。しかしこれに対して、

「対象となった成人のうち『コンピューター経験なし』『コンピューター導入試験不合格』『コンピューター調査拒否』が合わせて36.8%もいる」

というのだ。これらを著者は、こうまとめる。

  1. 日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない

  2. 日本人のおよそ3分の1以上が小学校3~4年生の数的思考力しかない。

  3. パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。

  4. 65歳以下の日本の労働力人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない。

えー!いくら何でも本当かなあ?・・・と思うけれども、心当たりがないではない。そりゃあ、「サイバー担当大臣」もパソコンは使わない(使えない)国だからなあ・・・。あながち「嘘」とも思えないわけである。

要は、

「環境によって獲得した形質は遺伝する。つまり『環境も遺伝も、共に子孫に影響を与える』と。その『遺伝部分』を『差別だ』と否定するのは間違いではないか?」

ということを述べているのだと思いました。


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(2019、2、13読了)

2019年2月26日 21:53 | コメント (0)

新・ことば事情

7065「方たち」

大阪メトロ(地下鉄)「堺筋本町駅」で流れていた女性の録音アナウンスが耳に留まりました。

「車内には、体の不自由な方たちの優先座席を設けております」

この中の、

「方たち」

が気になりました。これって、

「方がた(方々)」

なのではないでしょうか?

なんだかなあ。

「大阪メトロ」になってから変わったのか、それとも「大阪市営地下鉄」の時からずっとそうだったのかは、わかりません。だって、今回初めて気付いたんだもん。

そう思っていたら、きょう(2月21日)の「ミヤネ屋」でお届けした、デヴィ夫人が事務所の元経理の男に横領された事件の裁判のニュースで、こうしゃべっているのに気付きました。

「裁判官の方たちにお伝えしてしたい」

デヴィ夫人も「方たち」を使うんですね!

(2019、2、21)

2019年2月22日 18:33 | コメント (0)

新・ことば事情

7064「その気」

2月21日の「ミヤネ屋」で、デヴィ夫人が元事務所の男に横領された事件の裁判について報じました。その際に、この被告の男が横領した金を、

「女(女性)につぎ込でいた」

ということに関して、デヴィ夫人の、

「その気が全くなかったので、驚いた」

というコメントをフリップで紹介しました。この「その気」の、

「気」の読み方は、「き」か?「け」か?迷いました。

結論は、

「『け』だと思うが、微妙なので、ルビは振らない」

ということにしました。

「特定定の女性に、気があるか、ないか」

という場合だと「き」ですが、

「そういった方面に興味があるか、ないか」

だと「け」ですね。普通は「その気(け)がなかった」と言う場合の「気(け)」とは、

「同性愛」

を指すことが多い「気(き)」がしますが、あ、多い「気(け)」がありますが、今回の事務所の男は「女性」を対象とした、

「異性愛」

なので、「け」は使いにくい気(き)もするのですが・・・。どうでしょうか?

実際にデヴィ夫人がインタビューに答えているシーンがありましたので、VTRを確認したところ、夫人は、

「け」

と言っていました!

(2019、2、21)

2019年2月22日 18:32 | コメント (0)

新・読書日記 2019_020

『ことばハンター~国語辞典はこうつくる』(飯間浩明、ポプラ社:2019、1月)

2月2日に大阪で「千原兄弟」の兄・せいじさんと、「三省堂国語辞典」編集者の飯間浩明さんが対談するトークショーという、大変珍しい催しがあった。東京では「辞書ナイト」という「辞書を巡るトークショー」が何回も行われていて、ずっと「行きたいな」と思っていたので、大阪に飯間さんが来ると知ってすぐにチケットを予約。ワクワクして行った。

当日は、せいじさんのファンの方も多いようで、それと辞書ファン・飯間ファンなどで会場は超満員だった。

休憩をはさんで2時間半のトークショーは、スライドを使って盛りだくさん。私も久々に飯間さんに会えて良かった。楽屋にも(狭かったが)挨拶に行けて良かった。

たまたま「ミヤネ屋」の総合演出のT君も、せいじさん担当の吉本興業の人と来場していて、「なんで道浦さんが来てるんですか!?」とビックリしていた。こっちもビックリした。で、会場で販売していたこの子供向けのこのことばの本、ちゃんとサインしてもらって購入。なかなか書店では見つからなかったので、良い記念になりました。

また、毎日新聞の校閲の人も来ていて話が出来て、なかなか収穫の多いイベントでした。


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(2019、2、7読了)

2019年2月19日 15:02 | コメント (0)

新・読書日記 2019_019

『日本代表とMr.Children』(宇野維正・レジー、フットボリスタ:2018、11、26)

「日本代表」というのは「サッカー」の日本代表。それと「Mr.Children」がどう関係しているのか?実はMr.Childrenのメインボーカル・桜井和寿はサッカーが大好きで、ジュビロ磐田の名波選手(現監督)や中田英寿選手との交流があり、自分たちでチームも作ってプレーして、かなりサッカーに入れ込んでいたと。また、サッカー日本代表でも長年キャプテンを続けた長谷部誠選手はMr.Childrenの大ファンで、生きる信条にしていると。

「サッカー」と「ミスチル」という組み合わせは、私は全然知らなかったが、そんなことがあったんだねと、そういう視点は新鮮。

著者、というか対談している宇野維正氏は1970年生まれの音楽関係のライターで、サッカー専門誌の記者もしていたということで、まさに両方のフィールドのこの20年ほどを見て来た人。片やレジー氏は1981年生まれで会社員兼(!)音楽ブロガー。その二人が、

「ミスチル世代とは何か」

「JリーグとJポップの共犯関係」

「1998年のMr.Children」

「日本サッカーの日本化、Mr.Childrenの日本回帰」

「長谷部誠とはMr.Childrenである」

「本田圭佑というMoster」

「『自分らしさ』の檻」

「平成画終わった後の日本代表とMr.Children」

という9章に分けて語りまくる。

「1998年」の「フランスワールドカップ」に、日本代表が初めてワールドカップ本大会に出場を果たした年は、やはり一つの大きな節目だったんだな。

フランスのリヨンでのジャマイカ戦を見に行った時、試合前の日本代表の練習の際にスタジアムで流れていた曲は、安室奈美恵さんの「Can you celebrate?」だったのを思い出したが、「Mr.Children」についてはあまり詳しくない私には、深くサッカーとの関連を「そうそう!」と理解することは、できなかかった。やっぱり「ミスチル世代」じゃないと、わからないのかなあ。

あれから20年以上が経ってしまって、「平成」が終わろうとしている・・・。


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(2019、2、3読了)

2019年2月19日 11:00 | コメント (0)

新・読書日記 2019_018

『重版出来!12』(松田奈緒子、小学館:2018、12、27)

久々に買ったこの漫画。一体いつ単行本が出ているのか、よくわからない。多分、何巻か(読まずに)抜けている・・・。ま、いいか。

出版業界も経営が苦しく、漫画の世界も商売を続けるのは難しい、特に「紙」の世界は。

もうこの本は「漫画の話」というよりは、

「紙の出版業界の生き残り作戦のドキュメンタリー」

みたいになっている。

もし、紙の出版物がなくなったら「重版出来」という言葉も消えるのだろうか?


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(2019、2、2読了)

2019年2月18日 20:53 | コメント (0)

新・読書日記 2019_017

『樹木希林120の遺言~死ぬときぐらい好きにさせてよ』(樹木希林、宝島社:2019、2、11)

2019読書日記016『一切なりゆき』(文春新書)を買った時に、横に並んで置いてあって、パラパラッとめくってみたら、大体内容は同じ感じだったので、

「新書だけでいいかな・・・」

とも思ったのだけど、こちらの「装丁」は例の「宝島社」の話題になった新聞見開き広告、

「死ぬときぐらい好きにさせてよ」

のキャッチコピーが付いた、英国の画家「ジョン・エヴァレット・ミレイ」の名作『オフィーリア』をモチーフとした"あの写真"が使われていたので、これも買った。あの写真は気に入っていた。単行本で1200円プラス税はお買い得かな。新書のほうは800円プラス税。

この本は、「オフィーリア」の新聞広告と同じで「見開き」で1つ。右にキーワード、左にそのキーワードを含む樹木希林さんの言葉の文章という構成。これもなかなかシンプルで、良かったです。


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(2019、2、2読了)

2019年2月18日 20:51 | コメント (0)

新・読書日記 2019_016

『一切なりゆき~樹木希林のことば~』(樹木希林、文春新書:2018、12、20第1刷・2019、1、25第6刷)

2018年9月15日に、75歳で逝った女優・樹木希林さんの言葉を集めた物。

樹木希林さんの訃報は、亡くなった翌日の去年(2018年)9月16日夕方、私も(早稲田なのに)オンステした同志社OBシンガーズの演奏会があった大阪のザ・シンフォニーホールの楽屋で、ネットニュースで知ったのを覚えている。「全身がん」とは知っていたが、突然だったので、ちょっとショックだった。「万引き家族」も見たばかりだったし。

この本は、昨年末に出てから1か月でもう6刷。ベストセラー。

ということで、しばらくは買わずに様子を見ていたのだが、やっぱり手に取ってみると「読みたい!」ということで購入。

含蓄がある言葉の数々。写真なども見ていて思いだしたのは、その昔、

「山口百恵は菩薩である」

という本があったこと。そして私はこう思った、

「樹木希林は観音様である」

と。

タイトルの「一切成り行き」は、希林さんが生前、色紙に書いていた言葉、

「私の役者魂はね、一切なりゆき」

から選んだという。そしてさらに読み進んで感じたことは、

「樹木希林は、アナーキーなリベラリスト」

その意味では、夫・内田裕也と同じく、

「ロックン・ローラー」

なのではないだろうか、生き方が。

合掌。

(追記)

「週刊文春」2月28日号に載った広告よると、

「65万部突破」

だそうです。


(☆4つ)


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(2019、2、1読了)

2019年2月18日 20:50 | コメント (0)

新・ことば事情

7063「ど真ん中」

「ど真ん中」

という言葉について、2月の新聞用語懇談会放送分科会で、テレビ大阪の委員から質問が出ました。

「1月の夕方ニュースの、あすの予告ナレーションで、

『あすのやさしいニュースは、寒い冬でもほっこり温かい!大阪のど真ん中でたき火ができる新スポットから生中継です。』

というように『ど真ん中』という言葉を使ったところ、ベテランのアナウンサーから、

『"ど"真ん中という表現は、いかがなものか?』

という指摘がありました。実は、ナレーションを読んだアナウンサーも放送前に気付いて『まんまん中』への変更を提案したのだが、『ニュアンスが少し違ってくる』とディレクターに言われてそのまま『ど真ん中』で読んだとのこと。名古屋では1999年から『にっぽんど真ん中祭り』が定着していたり、関東でも『ど真ん中サミット』もあるようで、『ど真ん中』という言葉が身近に使われている気もいたします。接頭語の『ど』を使用する言葉の許容度含め、皆さまのご意見を伺いたい」

とのことで、ちなみにテレビ大阪では、

・「どスケベ、どアホ、ど近眼」など「人をけなす表現」は不可。

・「ど根性、ど真ん中、ど迫力」など「強調」のど」は許容。

だそうです。各社の意見は以下の通りです。

(NHK)1992年に山形県で「どまん中」という銘柄のコメが売り出され「名前がユニーク」と話題になった。NHKでは「ど真ん中」を禁止しているわけではない。しかし「俗に響く(聞こえる)ことがある」として、使い方には注意するよう言っている。「日本国語大辞典」には「ど真ん中」には2つの意味が載っており(1)関西地方で古くからある罵(ののし)る言葉(2)強めて言う言葉、となっている。

(日本テレビ)「ど真ん中」は関西の言葉で「まん真ん中」は関東の言葉、と大昔に習ったが今はTPOを考えて使い分ければいいのではないか。

(TBS)ラジオのCMで「ド迫力」というのが出て来る。「ドスケベ」「ド近眼」などの差別・侮蔑の言葉は、CM考査ではNG。

(フジテレビ)ニュース原稿では、政治家の言葉でよく「ど真ん中」は出て来る。ヒマネタでの「〇〇のど真ん中」は、数は少ないが出て来る。使い方に気を付ければ、使ってもいいのではないか。

(テレビ朝日)そもそも「ど真ん中」は使わない、特に女性アナは。若手男性アナウンサーに聞いたところ、先日の新橋の火事の中継で「オフィス街のど真ん中」と使ったという。「強調」する「ど」だ。あとは「ど根性ガエル」「ど根性大根」など。

(テレビ東京)「超弩(ど)級」の「ど」は、当時(1905年)世界最大(全長161m)のイギリスの潜水艦「ドレッドノート号」(=ド号)が基準となって、それを「超える」大きさという意味だったが、「ド根性」の「ド」と混同されているかも。

(MBS)放送で「ど」はあまり使わないが「ど真ん中」ぐらいは使う。「好みのタイプ」のことを「どストライク」と言うことも。しかし最近(侮蔑の)「ドスケベ」「ド近眼」は聞いたことがない。

(ABC)野球漫画「ドカベン」の岩木選手が、よく「ど〇〇」を使っていたイメージがある。スポーツニュースでは「ど真ん中」はよく使う。「まん真ん中」は「原稿」には似合わない。「実況」では先輩アナウンサーが「まん真ん中」を使っていたので、自分も使うようになった。これに対して「ど真ん中」は、ミスをして見逃してしまった場合などに使っている。また「左中間(右中間)のど真ん中」とは言わず、「左中間(右中間)のまん真ん中」という。明文化はされていない。

(KTV)テレビ大阪と同じ意見。関西出身アナウンサーが「『ど真ん中』はおかしい」と言っていたが、うちでは「どまんなか」というタイトルの番組を放送していた。ニュースでは「大阪のど真ん中」とは言わずに「大阪の中心部」にすると思う。

(共同通信)「どえらい」「ど真ん中」などはハンドブックに載っているが「まん真ん中」は載っていない。「政局のど真ん中」「青春ど真ん中」「東京のど真ん中」「ニューヨークのど真ん中」などの言葉の使用を、規制してはいない。

(WOWOW)新人の頃は(TBSでは)「『ど真ん中』は下品なので『まん真ん中』を使え」と研修で習ったが・・・。

というような感じでした。

ちなみに、過去に私がワードウォッチングした「ど〇〇〇」「ド〇〇〇」という例の記録を挙げると、

・「どキレイ」(2001年・エプゾンのプリンター「カラリオ」のCM)

・「どがいしょ(甲斐性)なし」(2005年・わかぎゑふ「大阪弁の秘密」、2009年・北野義則「知っているようでよく間違う日本語」)

・「ど真剣に生きる」(2006年・京セラの稲森和夫氏を取り上げたNHKの番組名)

・「会期が火曜から木曜でド平日」(2007年・辛酸なめ子「ヨコモレ通信」~週刊文春)

・「ド演歌」(2007年・「読売新聞」8月27日付)

・「どアラフォー」(2009年・米国人IT社長と結婚した歌手・長山洋子の発言)

・「ド金持ち」(2009年・田丸久美子「シモネッタの本能三昧イタリア紀行」)

・「痛みにどストライク」(2009年・筋肉痛緩和薬「バンテリン」のCM)

・「顔面どストライクや」(2009年・万城目学「プリンセス・トヨトミ」より)

・「ど暑い平日の昼下がり」(2010年・酒井順子「女子と鉄道」)

・「どタイプなんです」(2010年・日本テレビ「しゃべくり007」で女優・桐谷美玲の発言)

・「TOKIOドハマリ中!!」(2011年・GREEケータイゲーム「探検ドリランド」CM&新聞広告)

・「ドハンサム」(2012年・米原万里『他諺(たげん)の空似』)

・「ど生鮮」(2014年・「西友」のCM)

・「マンションの『ど真ん前』ですねえ」(2014年・読売テレビ「かんさい情報ネットten.」の「若一ミステリー」で女性アナウンサー)

・「ド真面目な彼女」(2014年・「週刊文春」AKB総選挙1位の渡辺麻友を指して)

・「スマホ どはやい」(2014年・スマホのCM)

・「超絶イケメン、どストライク!」(2016年・日本テレビ水曜ドラマ『地味にスゴイ!~校閲ガール・河野悦子』で、女優・石原さとみのセリフ)

・「どびつこう」(2016年・NHK朝ドラ「あさが来た」のスピンオフ番組で「がんすけ」さんのセリフ)

などがあり、「どどどどどど」っと、宮沢賢治のように書いてしまいましたが、コマーシャルやドラマなどで使われる傾向が強いようですね。

(2019、2、18)

2019年2月18日 20:01 | コメント (0)

新・ことば事情

7062「帰化か?国籍取得か?」

「テニスの大坂なおみ選手は、アメリカと日本の二重国籍でも『日本人』として扱われる一方で、大相撲の力士は、日本人に帰化しても『(モンゴル出身)日本人力士』と、『日本出身(日本人)力士』とは区別される傾向があります。このように帰化した『日本人力士』と、日本出身の『日本人力士』を区別する『日本出身力士』という表現は必要なのでしょうか?議論された社はありますか?」

と、2月に開かれた新聞用語懇談会放送分科会で質問したところ、各社から意見を頂きました。その中で、私を含めた委員の皆さんが特に注釈を付けずに使った、

「帰化」

という言葉について、日本テレビの委員から、

「先ほどから皆さん、『帰化』という言葉を使っているが、本来は『日本国籍取得』と言うべきではないか?」

という疑問が呈されました。

たしかに以前は「帰化」は、

「朝廷に帰属すること」

というのが本来の意味なので、差別的に捉えられるので使用せず、必ず、

「日本国籍取得」

と言い換えていましたが、最近は新聞も放送も特に気にせずに、

「帰化」

と使っているようです。この件について各社からは、

(NHK)「日本国籍取得」か「帰化」だが、「帰化」は法務省への「帰化申請」などの場合以外は使っていないと思う。

(WOWOW)1998年の長野冬季五輪の際に、アイスホッケー日本代表チームには「日系カナダ人」で日本国籍を取得した「日本人選手」がたくさんいたが、その際は「帰化」という言葉は使わないようにしていたと思う。最近は「大坂なおみ選手」などについて話すときでも「帰化」は使われている。大坂選手は3歳まで日本にいたので「日本人」という意識が、本人も周りも強いのではないか。

(共同通信)法務省の「帰化申請」のように、法律上は「帰化」を使うが、「帰化」は使わないことになっている。原則は「(日本)国籍取得」を使う。

とのことでした。

(追記)

2月23日(土)放送の読売テレビ「ニュースドライブ~辛坊さんついてきて」で「外国人労働者問題」を取り上げていました。実際に働いている外国人労働者たちの意見を聴きに行くという企画です。

その中で、群馬・大泉町の日系ブラジル人の女性が、

「日系ですが、帰化しました」

と話していて、そのまま文字をスーパーでフォローしていました。

(2019、3、26)


(2019、2、18)

2019年2月18日 19:59 | コメント (0)

新・ことば事情

7061「日本人力士か?日本出身力士か?」

「テニスの大坂なおみ選手は、アメリカと日本の二重国籍でも『日本人』として扱われる一方で、大相撲の力士は、日本人に帰化しても『(モンゴル出身)日本人力士』と、『日本出身(日本人)力士』とは区別される傾向があります。このように帰化した『日本人力士』と、日本出身の『日本人力士』を区別する『日本出身力士』という表現は必要なのでしょうか?議論された社はありますか?」

と、2月に開かれた新聞用語懇談会放送分科会で質問したところ、各社から意見を頂きました。それによると、

(NHK)スポーツデスクなどに聞いた。ラグビーでも「帰化」選手が多いので、「日本生まれ・日本育ち」じゃない選手に「日本人選手」は使わない。外国出身力士に「日本人力士」を使わず、「日本生まれ・日本育ち」の力士に「日本出身力士」と使うが、その取り決めをしているとか、議論したとかいうことはない。

(NHK・考査)(相撲実況を長年担当してきたが)国籍関係には、立ち入らないことにしている。「力道山」なども。歴史を振り返ると「2012年夏場所(5月)」に「旭天鵬」が優勝した際に、「旭天鵬」の国籍に関してクイズをした。実は「モンゴル出身」の「旭天鵬」は、優勝より前に「日本国籍」を取得していたので「日本人」だったと。その後、「2016年初場所」で「琴奨菊」が優勝して、「日本人力士」として「2006年初場所」の「栃東」以来「10年ぶりの優勝!」と言うつもりが、「日本国籍を取得して、日本人力士」となっていた「旭天鵬」が「2012年」に優勝していたので「4年ぶり」と価値が下がった。それで「日本人力士」と単純に言うのでなく「日本出身(日本人力士)」という表現が出て来たのだと思う。「2017年」に「稀勢の里」が横綱になるときも「日本人横綱」ということが取りざたされた。「1998年」の「若乃花」以来「19年ぶり」かと思ったら、「1999年」に日本国籍を取得していた「武蔵丸」が「日本人横綱」になっていたので、「日本人力士」とすると「18年ぶり」と少し期間が短くなってしまう。そういったこともあって「日本出身(日本人)横綱」という分類が出て来たのだと思う。NHKの実況では「日本出身力士(横綱)」は、あまり言わないようにしている。

NHKのこの委員は、メモも見ずに、とうとうと述べられたので、他社の委員から拍手が湧き起こりました。

(共同通信)以前は「日本"出身"力士」ではなく「日本"人"力士」だった。原稿データベースを見たら、野球の「メジャーリーガーは〇人目」という場合は、本当は「韓国籍」でも「日本人」に勘定して、「2012年頃」から「日本出身(メジャーリーガー)」という表現が登場し始めた。「大坂なおみ」も日本国籍を持っているし、国際的に活躍するスポーツでは、国籍がはっきりしないケースも多い。

(テレビ大阪)相撲は特別。国際的ではないからでは?

(テレビ朝日)ノーベル賞受賞者も「日本出身」を使っている。「ラグビー」の日本代表はどうか?

(日本テレビ)ラグビーは「日本代表」としている。帰化した選手も多い。

(共同通信)暗殺された、北朝鮮の金正男(キムジョンナム)も、「ベトナム」のパスポートを持っていたが、だからと言って「ベトナム人」と言えるかというと、疑問だ。

といった意見が出ました。

(2019、2、18)

2019年2月18日 19:57 | コメント (0)

新・ことば事情

7060「グランドスラム」

「平成ことば事情7059」で、「全米オープン」に続いて「全豪オープン」も優勝した大坂なおみ選手は、

「連覇か?連勝か?」

ということについて書きました。新聞用語懇談会放送分科会でのやり取りもお伝えしましたが、各社の意見をまとめると、大勢は、

「全米と全豪は別の大会なので、辞書には書かれていないが、別の大会で連続優勝しても『連覇』とは言わない。でも『グランドスラム』という『くくり』で考えれば『連覇』と言っても良いのではないか?」

という感じでした。

しかし論議の後半で、WOWOWの委員から、

「『グランドスラム』は本来『全豪・全仏・全英(ウインブルドン)・全米』という4つの大会全てで優勝すること。だから『グランドスラム連覇』というと『4大会全て優勝』を『連覇=2回続ける』ということで、『8大会連続優勝』になるのではないか?だから『グランドスラム連覇』という表現には違和感がある。いつのまにか『グランドスラム』が『一つ一つの大会を指す』ように、意味が変ってきているのかもしれない。今回は『4大大会連勝』か『グランドスラム大会連勝』ではないか。もし、大坂選手が「全仏」も優勝したら「4大大会3連覇」とは言わないと思う。」

という意見が出ました。

たしかに「グランドスラム」の本来の意味は、

「4大大会 全てに優勝する」

という「動詞」としての意味ですよね。それがその、

「4大大会の総称」

に変わってきているのかもしれません。

「共同通信」の委員も、

「『グランドスラム連覇』は、絶対おかしい!!」

と言っていました。

また、テレビ朝日の委員から

「去年、全米オープンの優勝インタビューを聞いていたら、セリーナ・ウィリアムズ選手が大坂選手に対して『これで、あなたも"グランドスラマー"になったから』と言っていたが、実際には大坂選手は『グランドスラム大会で1勝を挙げただけ』だったが。もしかしたら、テニスプレーヤーの間でも、意味が変ってきているのかもしれない。」

という意見を述べました。WOWOWの委員も、

「1990年代は言わなかったが、最近は確かに言うようだ。」

と認めていました。

言葉は、知らない間に変わってくるものなのですね。

(2019、2、18)

2019年2月18日 19:10 | コメント (0)

新・ことば事情

7059「連覇か?連勝か?」

現地時間の1月26日、大坂なおみ選手が、「全豪オープンテニス」でも優勝しました。

これで昨年秋の「全米オープンテニス」に続いて、「グランドスラム大会」を連続して2つ制覇したことになりますが、これを、

「連覇」「2連覇」

と呼んでいいのでしょうか。

「全米オープン」で、去年に続き今年も優勝すれば、

「(2)連覇」

で間違いないでしょうが、「全米」と「全豪」は

「別の大会」

ですよね。ただどちらも、4つある、

「グランドスラム」

と呼ばれる大会の内の1つですから、

「グランドスラム大会」

という「くくり」では、「連覇」と言えるかもしれません。

ちなみに、翌日の新聞各紙の表現は、

「四大大会連勝」

でした。

この表現について、2月の新聞用語懇談会放送分科会で、各社に意見を聞きました。

(NHK)グランドスラムの大会を続けて優勝したので「四大大会連覇」とした。「2連覇」は「2」と「連」が重複だという指摘がある。個人的には「『連勝』ではないのか?」と思う。

(日本テレビ)違う大会での優勝は「連勝」、同じ大会での優勝が「連覇」。今回は「四大大会連覇」と報じた。「グランドスラム(大会)」という「くくり」での「連覇」。個人的には「連勝」だと思う。

(TBS)「四大大会連覇」あるいは「グランドスラム連覇」としたが「『連勝』では?」という声もあった。

(フジテレビ)「四大大会2連勝」とした。「グランドスラム連覇」ならOKだった。

(テレビ朝日)ルールはない。「グランドスラム連覇」だった。考え方は「連覇=同一大会優勝」。例えば「高校野球」では、「甲子園球場で行われる」というくくりで「春夏連覇」「夏春連覇」と言うが、実際は「春」と「夏」は別の大会だ。もう、言葉が定着しているが。「連覇」の「覇」=「制覇」という意味の言葉を使いたがる傾向がある。

(MBS)「グランドスラム連覇」だった。「連続優勝」がふさわしい。「連勝」のほうが良かったのではないかと。

(ABC)「全米」と「全豪」は違う大会なので「連続優勝」だろう。でも「高校野球」の「春夏連覇」はもう定着して、なじんでいるので、使ってもいいかなと思う。

(KTV)うちは、放送ではこの言葉はなかったが、「連勝」よりは「連続優勝」が良いのでは?でも「制覇した感じ」が欲しいので、フィギュアスケートでは「2大会連覇」などと使うだろう。

(テレビ大阪)「高校野球」は、同じ「甲子園」という"くくり"なので「春夏連覇」に違和感はない。テニスは「4大大会連覇」かな。

(WOWOW)「グランドスラム」は本来、「全豪・全仏・全英(ウインブルドン)・全米」という4つの大会全てで優勝すること。だから「グランドスラム連覇」というと「4大会全て優勝」を「連覇=2回続ける」ということで、「8大会連続優勝」になるのではないか?だから「グランドスラム連覇」という表現には違和感がある。いつのまにか「グランドスラム」が「一つ一つの大会を指す」ように、意味が変ってきているのかもしれない。今回は「4大大会連勝」か「グランドスラム大会連勝」ではないか。もし、大坂選手が「全仏」も優勝したら「4大大会3連覇」とは言わないと思う。

(共同通信)正解はない。キメはないが、今回の「全豪優勝」では、本記では「4大大会連勝」とした。サイドもの(読み物)では杉山愛さんが「昨年の全米に続くメジャー連覇」と書いていた。国語辞典を引くと「連覇」に「同じ大会で(優勝)」という記述はなかった。しかし「グランドスラム連覇」は、絶対おかしい!!

(新聞協会)「グランドスラム」というのは、何年かかってでも、4つの大会に優勝すれば良いのか?

(WOWOW)1年で達成しなくても良い。1年(同一年)で制覇すれば「年間グランドスラム」。何年かかけて達成すれば「生涯グランドスラム」だ。

(ytv)「グランドスラム優勝」というのは「グランドスラム大会優勝」の「大会」が省略されているのではないか?

(WOWOW)そうだと思う。

(テレビ朝日)全米オープンの際の優勝インタビューを聞いていたら、セリーナ・ウィリアムズ選手が大坂選手に対して「これで、あなたもグランドスラマーになったから」と言っていたが、実際は大坂選手は「グランドスラム大会で1勝を挙げただけ」だったが。もしかしたら、テニスプレーヤーの間でも意味が変ってきているのかもしれない。

(ABC)いつ頃から変化してきたのだろう?

(WOWOW)1990年代は言わなかったが、最近は確かに言うようだ。

※ちなみに、その後、2月12日夕刊の、大坂選手がサーシャ・バインコーチとの関係を解消したという記事では、

(読売)四大大会連覇

(朝日)4大大会連覇

(毎日)4大大会2連覇

(産経)四大大会2連勝(共同通信の配信記事)

(日経)四大大会2連勝(共同通信の配信記事)

でした。

この日(2月12日)の放送では、

・日本テレビ「every.」=「4大大会を連覇」「グランドスラム2連覇」

~インタビューを受けた元プロテニスプレーヤ―浅越しのぶさん「グランドスラムを2大会優勝している」

・NHK「21時のニュース」=4大大会連覇を果たした

でした。

2月18日の「ミヤネ屋」の放送では、

「全米・全豪 連続優勝」

という表現を使いました。

(2019、2、18)

2019年2月18日 18:48 | コメント (0)

新・ことば事情

7058「お使いはよろしいですか?」

紀伊國屋書店で、カウンターの前に列に並んでいたら、店員さんが前のお客さんに対して話している言葉が聞こえてきました。

「紀伊國屋カードのポイントが123ポイントになりますが、『お使い』はよろしいですか?」

この、

「お使いはよろしいですか?」

という言い方は、珍しいですね。敬語で言うならば、普通は、

「お使いになりますか?」

だと思いますが、これを、

「お使い」

という「名詞に」して使っている。

「子どもがお使いに行く」

というのなら、わかるのですが・・・。

「お取り寄せ」「お役立ち」

などと同じ傾向の新しい言葉ですね。嫌な感じ!なのですが、個人的には。

私の番になったら別の店員さんで、

「ポイントはお使いになりますか?」

と普通の日本語で話してくれたので、ホッとして、ポイントを使うことができました。

(2019、2、1)

2019年2月18日 18:35 | コメント (0)

新・ことば事情

7057「『固執』の読み方」

「固執」

という言葉の読み方は、

「コシツ」か?「コシュー」か?

と聞かれました。私は普通、

「コシツ」

と読みますが、実は「コシュー」も「間違いではない」という話を、最近聞いたことがあります。『三省堂国語辞典』編集者の飯間弘明さんからだっけな?うろ覚えですが。

確かに「固執」の「執」は「執念」の「しゅう」です。でも「執事」の「しつ」でもあるわけですよね。

そこで現状を調べてみました。

*「コシツ」が「見出し」(「コシュー」は空見出し):〇「コシツ」×「コシュー」

『三省堂国語辞典』「コシツ」。「コシュー」=空見出し

『三省堂現代新国語辞典』「コシツ」。「コシュー」=空見出し

『デジタル大辞泉』「コシツ」(「こしゅう(固執)の慣用読み」、「コシュー」=空見出し

『明鏡国語辞典』「コシツ」(「固執」(こしゅう)の慣用読みだが、今日では「こしつ」が一般的」。「コシュー」=空見出し

『新明解国語辞典』「コシツ」。「コシュー」=「こしつ」の古風な表現、とのみ。

『旺文社標準国語辞典』「コシツ」(参考)「こしゅう」とも読む。「コシュー」=空見出し

『現代国語例解辞典』「コシツ」「しつ」は「執」の慣用音。漢音は「しゅう」。その意味から、伝統的な読みは「こしゅう」だが、今日の口頭語では「こしつ」の方が一般的。「コシュー」=空見出し。

『新潮現代国語辞典』「コシツ」=「こしゅう」の慣用読み。「コシュー」=空見出し。

『NHK日本語発音アクセント新辞典』「コシツ」のみ

『NHKことばのハンドブック第2版』〇「コシツ」 ×「コシュー」

『新聞用語集2007年版』(放送で標準とする読み方例)〇「コシツ」 ×「コシュー」

*「コシュー」が見出し(「コシツ」が空見出し)

『精選版日本国語大辞典』「コシュー」。「コシツ」=空見出し(「しつ」は「執」の慣用音。漢音は「しゅう」)「コシュウ」用例=1422年『旱霖集』、「コシツ」用例=1915年『搦手から』(長谷川如是閑)

『広辞苑』「コシュー」(コシツとも)。「コシツ」=空見出し。

『岩波国語辞典』「コシュー」。「コシツ」=空見出し。

というような現状で、やはり現状では、

「コシツ」

が圧倒的のようです。

(2019、1、31)

2019年2月 1日 18:30 | コメント (0)

新・ことば事情

7056「飯テロ」

「飯テロ」

この言葉を、先日、初めて知りました。

「メシテロ」

と読みます。

まだ辞書には載っていないのではないかな?俗語ですよね。

電子テロップ作成の現場で、毎日「ミヤネ屋」のテロップの修正作業をしているのですが、ちょうどお昼ご飯の時間に重なるので、なかなか会社の10階にある食堂まで行く時間がなく、1階にある自動販売機でカップ麺やおにぎりを買って来て、食べながら作業をすることが多いのです。

今、はまっているのは「チーズカレーヌードル」。これ、なかなかおいしいんですよ!

しかも、あの「551の豚まん」ばりの強烈な良い匂いがします。

先日、それを食べながら作業をしていたら、まだ昼ご飯を食べていないスタッフが、うらやましそうな顔で、

「飯テロですね・・・」

と言ったのを、私は聞き逃しませんでした。そうか、こういう行為が「飯テロ」と呼ばれる行為なのかと。そこで、

「そう。電テロで飯テロ」

と返しました。「電テロ」というのは「電子テロップ室」の略称です。「室」と言っても「コーナー」なんですけどね。リズムが良いですね。脚韻を踏んでいますね。

先週は、5日のうち3日、「飯テロ」を敢行しました。本当は、食堂で食べたいんですけどね・・・。

グーグル検索(2月1日)では、

「飯テロ」 =376万0000件

「メシテロ」= 18万8000件

「めしテロ」=    9730件

でした。「飯テロ」、結構、使われているなあ。「Weblio・実用日本語表現辞典」というサイトによると意味は、

『実際には食べることができない人に美味しそうな食べ物やその写真などを見せ、見る者の食欲を刺激する行為を意味する俗語。具体的には、SNSやインターネット上の掲示板に料理の写真を投稿したり、ダイエット中の人の前で食事をしたりすることなどが「飯テロ」に含まれるとされる。特に、深夜帯に食欲をそそるような写真をウェブ上に投稿し、見る者の空腹感を刺激することを「夜食テロ」と言うこともある。』

でした。

「ミヤネ屋」の若いスタッフの女性(20代半ば)に、

「『飯テロ』って言葉、使う?」

と聞いてみたところ、

「使います!夜中にツイッターとかで、おいしそうな食べ物の写真がアップされることですよね」

と、上に書かれたものとほぼ同じ内容を説明してくれました。

(2019、2、1)

2019年2月 1日 18:29 | コメント (0)

新・ことば事情

7055「弟子?元弟子?」

あす2月2日に「断髪式」を控えた「貴ノ岩」は、「貴」の字が付くのでわかる通り、「元貴乃花部屋」の力士でした。つまり、「貴乃花親方」の

「弟子」

だったわけです。

しかし、部屋が消滅し、親方も貴ノ岩本人も引退した現在は、「弟子」なのか?

「元弟子」

ではないのか?という問題があります。多分「元弟子」でしょうね。そうすると、

「元貴乃花親方の元弟子である元貴ノ岩」

ということなのでしょうか?「元」だらけで、現在は一体、何やねん?という疑問が。

似て非なるものに、

「恩師」

があります。

「中学校時代の恩師」

は、中学時代に教えてもらったら、一生「恩師」であり、

「元恩師」

という言い方は成り立ちませんよね。

「現在の関係性」と「過去に一度でもそういう関係性があったかどうか」で、「形容詞」が変る場合があるということか。難しいなあ。

「平成ことば事情7054元長男」もお読みください。

(2019、2、1)

2019年2月 1日 18:27 | コメント (0)