新・ことば事情
7050「塀の中」
1月24日のNHKのお昼のニュースを見ていたら、関西ローカルのニュースで、
「官製談合で家宅捜索」
のニュースをやっていました。これは、大阪市発注の電気工事を巡って入札情報を不正に漏らした疑いがあるというもので、大阪地検特捜部が「官製談合防止法違反容疑」で大阪市建設局や契約管財局、電気工事会社などを「家宅捜索」したものです。
それを伝えた男性記者のリポートの声が、
「大阪地検の職員が、次々と『塀の中』に入って行きます!」
というものでした。この、
「塀の中」
に引っかかりました。大阪地検の職員が入って行ったのは、
「大阪市建設局の事務所のガラスドアの中(向こう側)」
であって、決して、
「塀の中」
ではありませんでした。それに「塀の中」というのは、普通は、
「刑務所の中」
を意味しますよね。安部譲二さんの「塀の中の懲りない面々」とかね。まだ、誰もつかまってないので「塀の中」には入っていません。表現が間違っている上に、ややこしい。
このリポート部分は「VTR収録で声だけ」だったので、私が報道のデスクならば「塀の中に」の部分の声だけをカットして、
「大阪地検の職員が、次々と入って行きます!」
にするところだけどなあと思いました。なぜ直さなかったのかは、
「藪の中」
ですけどね。