新・ことば事情
7038「霊長類最強」
レスリング女子でオリンピック3連覇を果たし「国民栄誉賞」も受賞した、
「吉田沙保里選手(36)」
が、1月8日にツイッターで「引退」を表明しました。
そのニュースを伝えるのに、うち(ytv)のニュースでも他局のニュースでも使っていた"形容詞"が、
「霊長類最強」
でしたが、これって、女子選手には大変失礼ではないでしょうか?
「霊長類最強女子」
と「女子」を付けると、「やや許容」という感じも、しないではないですが・・・。
「霊長類」
を調べてみたら、
「哺乳綱の一目。サル目。進化的にはモグラ目(食虫類)から別れ、歯・四肢は特殊化していないが大脳はよく発達、顔は丸く、両眼視ができる。指は物をつかむのに適する。ほとんどの種が、どの指かに扁爪(ひらづめ)を持つ。多くは森林の樹上にすみ昼行性。ヒトを含めて12科約60属180種に分けられる。霊長目。」(広辞苑)
詳しすぎてわかりにくい。もっと簡潔に!こういうときは「新明解国語辞典」だ!
「霊長類」=ヒトとサルの総称。
ほら、わかりやすい!
私は「サル」で一番強いのは「ゴリラ」だと思います。
そうだとすると、「霊長類最強」ということは、
「ゴリラより強い」
ということになります。そうかもしれないけど(いや、実際はそんなことはないでしょう)、やはり、
「褒めてるようだけど、失礼な感じ」
は拭えませんねえ・・・。
本人は心が広いから、文句は言わないと思うけど、それにしても・・・。
「絶対女王」
は良いと思いますが。
いずれにせよ、吉田沙保里選手、長い現役生活、本当にお疲れさまでした!
(追記)
1月10日に引退会見を行った吉田沙保里選手。その会見後には、お母さんの幸代さんも、インタビューに答えていました。その中で出た質問に、
「『霊長類最強』と呼ばれることをどう思いますか?」
というものがあって、お母さんは、
「一応、女の子なんでねえ、なんか『ゴリラ』みたいな感じで、かわいそうに思いますけど」
と話されていました。やっぱり!その通りですよね!と言いつつ、きょうも「ミヤネ屋」でも使ってしまいましたが、一応「女子」を付けて、
「霊長類最強女子」
という肩書で・・・。