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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_186

『合唱っていいな!~作曲・演奏・指揮をめぐって~』(新実徳英、洪水企画・燈台ライブラリー:2015、8、1第1刷・2015、9月20日第2刷)

2018年の10月に、大学生の合唱コンクール(と言っても、参加団体は6つぐらいの小さなものだが)の「特別審査員」をいうものを仰せつかった。私は、音楽的に詳しいことはわからないので、「そんなのは無理です」と固辞したのだが、係の人が、

「聴いてみて気に入った演奏団体に『特別賞』を上げてくれれば結構です。本物の審査(?)は専門家がやりますので」

と言うので、「そういった気楽な立場なら」ということで引き受けた。

その際の「本物の審査員」として集まっていた作曲家・指揮者5人の中に、作曲家の新実徳英先生がいらっしゃったのだ。今から30数年前に「幼年連祷」という新実先生の曲を歌ったことがある。ついこの1か月前にも、ある合唱団が歌った新実先生の曲の「朗読」を担当した。これも何かの縁だろうと、お会いするのを楽しみにして当日を迎えた。名刺代わりに、拙著『スープのさめない距離』を持参したところ、「帰ったら、私も本を送りますよ」とおっしゃって、すぐに送っていただいたのがこの本。すぐに読んだのだが、じっくり感想を書こうとしていたら、年が明けてしまった・・・。

第1章「合唱音楽の魅力を考える」はコラムだが、第2章と第4章・第5章は「対談」。指揮者の栗山文明さん、清水敬一さん、松下耕さん、寺嶋陸也さん、そして新実先生が2011年の東日本大震災をきっかけに「つぶてソング」を書くきっかけとなった詩人の和合亮一さんとの対談を収めている。実際にコンクール当日に、異動の車の中などでいろいろお話を聞かせて頂いたが、対談では、その口調が浮かび上がってくる気がした。

実は10月のコンクールの本物の審査員のお一人に、清水敬一先生もいらっしゃった。新実先生ともお友達なんですね。清水敬一先生は、早稲田に2つある男声合唱団の一つ「コール・フリューゲル」という合唱団のご出身(もう1つの男声合唱団が「グリークラブ」=私の出身合唱団)で、私より2学年上、早稲田グリー事情にもお詳しかった。さすが!

第6章では「合唱音楽の名作を選ぶ」と題して、新実先生と今回対談した先生方が選ぶ「合唱音楽の名曲ベスト10」が紹介されている。

なかなか楽しい一冊であった!


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(2018、10、28読了)

2019年1月25日 18:54 | コメント (0)