新・読書日記 2018_178
『大阪的~「おもろいおばはん」は、こうしてつくられた』井上章一、幻冬舎新書:2018、11、30)
「大阪人の特徴は?」
と言われたときの印象は、やはり、
「おもしろい」「がめつい」「阪神ファン」
などの反応が出て来るであろう。しかし著者は、
「それは違う!」
と反論する。そういった「大阪人」「大阪」のイメージは、テレビ局などによって、たかだかここ数十年で作り上げられたものなのだと。そして、
「大阪のおばちゃんは、みんなヒョウ柄の服を着ている」
というのも、
「全員ではない」
と否定するが・・・これはちょっと、否定する力は弱くなる。
当たり前なのだが、大阪に住んでいる大阪人全員が、そういった特徴を備えているわけではない。「全員そうだ」というイメージは、外向けに作り上げられたものだという話なのかなあと思った。
まさにそういったイメージを作っている「在版のテレビ局」であるわが社は、「秘密のケンミンSHOW」という番組で、各都道府県ごとの県人の特徴をステレオタイプ化して楽しむ番組を作っている。自分をも客観化して笑える人と笑えない人がいて、結構、怒って来る人もいるんですけどね。まあ、仕方ないけど。
著者は、京都の西のはずれで生まれ育って、洛中の京都人からは「京都人ではない」という烙印を押された恨みを、通奏低音的に持っている。関西人ではあるが、京都人でもなく大阪人でもなく、でも京都人であり大阪人でもあるという視点から、東京など他地域に対するときは「関西に人になる」。そういった相対的な立場を述べつつ、「大阪的」のエキスとは何なのか?を読み解いていく一冊。
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