新・読書日記 2018_167
『サブカル勃興史~すべては1970年代に始まった』(中川右介、角川新書:2018、11、10)
中川さんの最新刊。全く、ものすごいペースで本を出されますね。読むのが追っつかない。しかし前著『1968年』(朝日新書)に続いて、今度の『サブカル勃興史』は、サブタイトルに、
「すべては1970年代に始まった」
とあるので、本は違うけど、一連の時代の流れを切り取った中では「続き物」のようにも感じられました。
帯には、
「少女漫画も歴史をたどれば 宝塚歌劇を原点に持つ『手塚治虫』に行き着く」
とあります。今年は「手塚治虫生誕90年」でもありますね。
「国民的エンタテインメントの原点を紐解く」
とも。「読み解く」の意味での「紐解く」ですが、本を紐解いていっているので、その意味では正しい使い方でしょう。
「はじめに」で中川さんは、
「一九七0年代にはまだ生まれていなかった方には『歴史』として、僕と同じ世代の方には『共通の記憶』として、楽しんでいただければと思う」
と書かれているが、正にその通り。「同じ世代」なので「共通の記憶」である。それは「時代の記憶」でもある。それがマンガで、そしてテレビのアニメで(当時は「アニメ」とは言わなかったが)たどれる。
本の中で中川さんは、
「今でも主題歌を歌えるかどうか」
で、「そのアニメをしっかり見ていたかどうか」を判断しているようだが、これはまさに「共通の記憶」で、たしかに、「よく見ていた番組は今でも主題歌を歌える」のである!この件に関しては、11月23日に番組収録で読売テレビに中川さんがいらっしゃったときに、感想として直接お話ししました!
子どもの頃の記憶力って、スゴイものだなあ・・・。
うちの子どもたちの世代は、一体何を「そういった記憶」として覚えているのでしょうね?
そして「あとがき」では、
「『全ては手塚治虫に始まった』のである。」
と締めくくられている。
そう、私が先月から30年ぶりに手塚治虫の漫画を読み始めたきかっけの一つは、正に「本書」なのである。