新・ことば事情
7009「漫画の吹き出しの文字の縦横」
先日、メジャーリーグを舞台にした野球漫画を読んでいて、急に気付きました。
*日本人選手が日本語でセリフをしゃべっているときは「縦書き」
*外国人選手が外国語でセリフをしゃべっているときは「横書き」
になっていたのです!
これまで、全然、気付かなかった!
もちろん、「吹き出し」の中の外国人選手のセリフも、
「日本語で書かれている」
のですが、それを「横書き」にすることで、
「外国語をしゃべっているのを翻訳した感じ」
を出そうという工夫しているのでしょうね。これは漫画の世界では「常識」なんでしょうかね?
この漫画では、日本人選手の「通訳」をする日本人が出て来るのですが、この男が、
「日本人選手」としゃべっている場面では、吹き出しの中のセリフは「縦書き」で、
「外国人選手」に英語で通訳している場面では「横書きの日本語」でセリフが書かれているのです。
あまり気付かれていないかもしれませんが、いろんな工夫があるのですねえ。
また、現在ヨーロッパを舞台に描かれているジャズの漫画『BLUE GIANT SUPREME』(石塚真一、小学館)では、外国人としゃべる場面も「日本語」で書かれていますが、セリフはやはり、
「横書き」
になっています。
時々、仲間以外の外国人としゃべる場面では、「英語」や「ドイツ語」が出て来て、その「日本語訳」が、吹き出しの中の外国語の下に( )で書かれていました。
しかし、主人公・大が「下手な外国語」をしゃべる場面では、
「カタカナで縦書き」
また、「大の頭の中の考え、声に出ていないもの」は、
「縦書き」
になっていました。これは、
「日本語での思考だから」
なのでしょう。さらに、最近読んだ他の漫画では、手塚治虫の『ブラック・ジャック』『リボンの騎士』は、原則「縦書き」ですが、「日本人の日本語」でも、スペースの都合で、外国語ではないのに「横書き」のこともありました。