Top

『道浦TIME』

新・ことば事情

7006「ご遠慮か?失礼か?」

「喪中欠礼」のはがきが毎日のように届きます。

それを見た、中2の娘からの質問です。

「年始の挨拶を『ご遠慮します』と『失礼します』は、どう違うの?」

「さあー、どうだろう?気にしたことなかったな。喪中というのは、喪に服しているということだけど、その間は穢(けが)れていると考えられるので、その穢れが、おめでたい年始にうつらないように『ご挨拶をする(年賀状を出す)のは遠慮します』ということで、また遠慮することで年始の挨拶がないのは失礼に当たると言うので、あらかじめ『失礼します』と言ってるんだよね。つまり同じことかな。」

「でも『遠慮』って、『うちは、今年は喪中だから、年賀状を出すのは遠慮してください』って意味じゃないの?」

「それは違うね。喪中の家の人は年賀状を出さないけど、その人に対して年賀状を出してもいいんだよね。でも、喪に服していると言っている人に『新年おめでとう!』と出すのは、やはり失礼に当たると考える人も多いから、喪中はがきが来た人には、普通は、年賀状は出さないよね。」

というところで、実際に家に届いた「喪中はがきの文言」をチェックしてみました。

今年すでに届いた喪中はがきは16通。その文面は以下のように分けられます。(  )内はバリエーションです。

(1)「喪中につき(のため)年末年始(新年)のご挨拶を(は)ご遠慮申し上げます」

(2)「喪中につき(のため)年末年始(新年・年頭)のご挨拶を(は)失礼させていただきます」

これを「遠慮」と「失礼」で分類し、さらに「喪中につき」か「喪中のため」か、「年末年始」か「新年」か「年頭」か、「(ご挨拶)を」か「(ご挨拶)は」かで分けて数えたら、以下の通りでした。

  1. 遠慮=10:「につき」9、「のため」1。「年末年始」8、「新年」1、「年頭」1。

    「を」7、「は」3。

(2)失礼=8:「につき」6、「のため」2。「年末年始」5、「新年」2、「年頭」1。

「を」5、「は」3。

ということで、拮抗していますが「遠慮」のほうが「失礼」よりも少し多かったです。

ついでに、去年より前に頂いた喪中はがきで手元に残っていたものも調べてみました。そすると、

(3)「年始めの御挨拶を控えさせて頂きます。」

という、「全文手書き」(印刷文面ではない)の喪中はがきも1通、ありました。

(1)遠慮=4:「につき」=4、「のため」=0。「年末年始」3、「新年」1。

「を」3、「は」0、「助詞なしの『ご挨拶』」1。

(2)失礼=6:「につき」=5、「のため」=1。「年末年始」=3、「新年」=2、「年頭」1。

「を」2、「は」3、「助詞なしの『ご挨拶』」1。

(3)控えさせて=1。「を」1。

と、今度は「失礼」のほうが多かったのです。

今年のもとを合わせて、トータルでは

*「遠慮:失礼:控えさせて」=「14:14:1」

*「につき:のため:(表現なし)」=「24:4:1」

*「年末年始:新年:年頭:(表現なし)」=「19:6:3:1」

*「(ご挨拶)を:(ご挨拶)は:助詞なし」=「18:9:2」

ということになり、(「年末年始」「喪中につき」という表現がなかったものが1通)

「『遠慮』と『失礼』が同数」

という、思いも寄らない結果になりました!

(2018、11、23)

2018年11月22日 16:49 | コメント (0)