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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_147

『甲子園という病』(氏原英明、新潮新書:2018、8、20)

最近はやや緩和されたが、やはり「甲子園」の高校野球のスケジュールというのは、ものすごく「タイト」だ。連戦につぐ連戦。夏の暑い中、しかもここ数年の猛暑の中、昼日中、炎天下で試合が行われる。プロのようにピッチャーがたくさんいてローテーションがあるわけではなく、強いチームでも、エースが1人で何試合も。勝ち上がれば勝ち上がるほど、投げ抜くのだ。まさに鉄腕。そう、今年の夏の秋田・金足農業のエースもそうだった。それをまた、我々マスコミが「美談」にしていく・・・。

「甲子園」が「ゴール」ならばそれでもいいかもしれない。しかしその後「プロ」に入って「野球」を「仕事」にしようとしている選手もいるにもかかわらず、「ピークが甲子園」になってしまい、肩を壊して、その後の長い人生の設計が狂ってしまうことも。甲子園の優勝投手がその後、大成したかどうか、そのあたりも著者は追跡取材している。また、監督たちに「あれで良かったと思うか?」という取材も行っている。いろんなケースがあるだろうが、たしかにこの日程と、投手の投球数制限の無い中、炎天下に野球をやるのは、昔ならともかく、今は「おかしい」と言えると思う。炎天下の「東京五輪」と同じように。もし、倒れたりしたら「自己責任」なのか?未成年の高校生が。考えるべき時期に来ているな。


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(2018、10、22読了)

2018年11月 7日 11:37 | コメント (0)