新・読書日記 2018_140
『波の上のキネマ』(増山実、集英社:2018、8、30)
知り合いの放送作家の増山さん、作家として物語を紡ぐのも、すっかり順風満帆のようで、うれしいです!
今回の舞台は、兵庫県の尼崎市と沖縄の西表島。しかも入り口は「映画館」「映画」なので、「ニューシネマ・パラダイス」のような、私の好きな感じで始まって、映画館の歴史をたどる中で、創業者である亡くなったお祖父さんの人生を振り返る不思議な旅に出ることに・・・・いい感じですね、ワクワク。
西表島に炭鉱があったのは知らなかったな。「浅沼」というのは「麻生」を髣髴させますね。きっとそうでしょうね。かなり現地取材もやっている感じがしましたね。そうでないと書けないな、これは。甲子園球場、野球も出て来るし、増山さんの好きなものを詰め込んだ「おもちゃ箱」のような小説ですね。
話の中で、沖縄に「Foujita」と署名する画家が出て来る。「藤田」?「藤田嗣治」?
ちょうど京都で「没後50年藤田嗣治展」をやっていたので見に行ったところ、たしかに昭和8年(1933年)に沖縄を訪れているんですね。その国内取材旅行の流れで、秋田で大壁画を描いた。去年、現地で見ました。
増山さん、映画大好きなんやな。
「七人の侍」「タクシードライバー」「君の名は」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「伊豆の踊子」・・・各章のタイトルが全部「映画のタイトル」なんです!
「CITY LIGHTS」=「街の灯」。チャップリンのこの映画、実は見ていない。見たくなりましたよ。
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