新・ことば事情
6992「アーパー」
10月26日の「ミヤネ屋」で放送予定だった、沢田研二さんのコンサート中止問題で、ディレクターから、
「沢田研二さんが自分を指してのコメントで『アーパー』というのがあるんですが、使ってもいいですか?」
と質問されました。
私は、
「まあ好ましくはないがOK。『アーパー』というのは、いわゆる『倒語』、つまり『さかさまにした言葉』です。よく音楽関係者(ジャズなど)や芸能人が使うと言われる、
『ズージャ』(=ジャズ)、『シーメ』(=メシ(飯))、『ナオン』(=オンナ(女))
などの言葉の一種です。つまり『アーパー』は、元の言葉に戻せば、
『パー』
になります。意味は『アホ』という感じですね。『隠語』(業界用語)で当然『俗語』なので、放送で使うのはあまり好ましくないが、沢田研二さんが自分を指して使っていることなど状況から考えれば、今回は『許容』ですね。」
ところが、このネタは放送されませんでした。あ、「ネタ」も「倒語」で、本来の言葉は、
「タネ(種)」
ですね。撒かぬタネは生えぬ。