新・ことば事情
6987「燃焼中」
ことし7月大阪・東大阪市で工場の火事がありました。そのニュースの原稿の、
「大阪府東大阪市の工場で火事あり、現在も燃焼中です。」
という中の、
「燃焼中」
という言葉に対して、視聴者の方からこういった苦情が届きました。それは、
「火事で『燃焼中』というのは、言葉の選び方おかしくないか?テロップでも『工場火災燃焼中』となっていたが、『現在も燃え続けています』など他の言い方があるのではないか?『燃焼中』というのは、すごく違和感があった。」
というものです。
これまで私はあまり気にしていませんでしたが、たしかに「燃焼中」は、言われたら引っかかりますね。「燃焼実験」のように、
「燃焼させることが目的で、それが続行中である」
ように感じますね。「燃焼中」という漢字3文字ではなく、
「火は、現在も燃え続けています」
と「和語」で言うべきでしょうね。しかし、もしかしたらこれは、
「消防用語」
かもしれません。報道デスクに聞いたところ、やはり、
「消防の広報でも言っているし、ニュース原稿でも使っている。」
とのことでした。そこが原因・火元か。
もし「漢語」にするなら、
「炎上中」
のほうが適当かもしれません。しかし、最近「炎上」と言うと「SNSの世界」のようで・・・・。
今、新聞用語懇懇談会放送分科会で改訂作業中の『放送で使う言葉・敬語編』で、
「『何でもかんでも漢語にしてしまう傾向』は良くない」
という話が出ていますが、この「燃焼中」も、その一つかもしれませんね。他には、
「ご愛用の」→「愛用されている」
「間もなくの発車です」→「間もなく発車します」
などがあります。