新・ことば事情
6982「公式の場所 選手人生」
10月23日午後3時から、卓球の福原愛さんが「引退報告会見」を行いました。「ミヤネ屋」でも少しだけその模様をお伝えしましたが、読売テレビ夕方の「かんさい情報ネットten.」でもトップニュースで伝えていました。そのVTRの冒頭のナレーションを聞いて、「おや?」っと思いました。それは、
「引退を表明してから初めての公の場所」
という言葉。この中の、
「公の場所」
というのは少しおかしい。正しくは、
「公の場」
でしょうね。「場」と「場所」はどう違うか?
ほぼ同じと言えばそうなのですが、ニュアンスは違いますね。
「場所」は、
「具体的な場所」
で、「住所、所在地」などを示すでしょう。
それに対して「場」は、もう少し、
「抽象的な空間・スペース」
を指すと思われます。特にこういう場合の「公の〇〇」という言い回しでは、
「公の場」
がふさわしいでしょう。その旨、プロデューサーに伝えたら、
「その通りですね。気を付けます」
ということで、引き続き、愛ちゃん・・・愛さんのニュースを見ていたら今度は、
「26年間の選手人生に区切りを付けました。」
という文章が。この、
「選手人生」
もおかしいですよね。この場合は、
「選手生活」
が妥当です。「人生」と「生活」。似ているけど、明らかに違いますよね。「人生」はトータルで俯瞰しているけど、「生活」は日々連続して続けて来たものの積み重ねという感じがしますよね。
この原稿を書いたディレクター、言葉遣いが微妙にストライクゾーンからずれて、
「ボール」
になる球を投げて来ますねえ・・・。