新・ことば事情
6973「隻腕」
先日、報道の若いプロデューサーが質問してきました。
「パラリンピックを目指す『隻腕』のアスリートを紹介するんですけど、『隻腕』という表現は使っても大丈夫でしょうか?『片腕』はダメだとは思うんですけど・・・」
たしかに「片腕」というか、
「片〇〇」
という表現は、
「2つそろっていないとダメ」
という考えがベースにあるので、あまり望ましくありません。でも、「片腕」も、例えば
「仕事の相棒・有力な部下」
という意味では使ってもいいかなと思います。
「右腕」
という表現もありますね。でも差別的な表現と捉える人もいるでしょうから、「片腕」は避けた方がいいかな。で、
「隻腕」
ですが、これはOKでしょう。
アメリカ・メジャーリーグで「隻腕投手」の、
「ジム・アボット投手」
が活躍した頃には、よく「隻腕」という表現を目にしましたね。
また「片目」の意味の
「隻眼」
も、ごくたまに見ることがありますが、「片足」の意味で、
「隻脚」
というのは、あまり見ないですね。
グーグル検索では(10月18日)
「片腕」= 181万0000件
「隻腕」= 11万5000件
「片目」= 982万0000件
「片眼」= 116万0000件
「隻眼」= 195万0000件
「隻目」= 45万1000件
「片足」=1480万0000件
「隻脚」= 3万4900件
でした。「隻脚」という言葉もあるようですね。あまり使われていないけど。
このうち「隻目」は、「艦船」を数えるのに、
「〇隻目」
という意味で使われているのが、引っ掛かったようです。