新・ことば事情
6963「義実家」
『#名画で学ぶ主婦業』(田中久美子・監修、宝島社:2018、9、10)という本の中に出て来て、
「おや?」
と思った言葉に、
「義実家」
がありました。
この本は、ツイッターで主婦が、「名画」について今風の解釈コメントを付けたものを集めた本なので、この「義実家」というのは、
「夫の両親の家」
のことを指します。昔の家制度の流れで言うと、結婚して「夫の姓」を名乗り、
「嫁」
と呼ばれる立場であれば、「さと」と呼ばれる「実家」はありますが、「夫の家」はあくまで「本家」(?)になるのでは?「夫(妻)の両親」はたしかに、
「義父・義母」
ですが、「実家」に「義」を付けた「義実家」というのは、これまで言わなかったのではないでしょうか?少なくとも、私は聞いたことがありませんでした。やはり女性の方がよく使う言葉なのでしょうか?
グーグル検索では(10月16日)、
「義実家」=309万件
も出て来ました。トップに出て来たのは、「YOMIURI ONLINE」の「発言小町」。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2004/0916/015538.htm
しかもずいぶん昔、「2004年9月16日」で、
「よくこのコーナーでは『義実家』という言葉を聞くが、とても違和感ある。なぜなら『実家』は自分の『実の家』。それに"義理"ってあるんだろうか?相方の実家は『妻の実家』『夫の実家』でいいのでは?」
というご意見でした。
「その通り!」だと思います。
これに関する意見は賛成・反対両方が集まっていましたが、「夫の実家」は、
「婚家(こんか)」
という言葉がある、というご指摘も。
新しい言葉を素早く取り入れることで知られる『三省堂国語辞典』(第7版)も、さすがにこの「義実家」は載せていません。あくまで「俗語」ということでしょう。
「もしかして、『実家』の用例で載せているかも・・・」
と思って「実家」も引いてみましたが、載っていませんでした。
「婚家」「養家」
は載っていました。
しかし「義実家」って、なんか、
「鎌倉時代の武士の名前」
のような感じに見えます。「義家」か!