新・読書日記 2018_126
『天災と国防』(寺田寅彦、講談社学術文庫:2011、6、9)
名著。たしか「岩波文庫」の『寺田寅彦随筆集・第5巻』に入っていたが、講談社学術文庫で復刊。そのタイミングは「2011年6月9日」。そう、その3か月前の「2011年3月11日」の「東日本大震災」を受けての刊行であろう。あの、
「天災は 忘れたころに やって来る」
という言葉は寺田の言葉だと言われるが、実はそのままの言葉は出て来ない。寺田が講演などでも繰り返しそういった内容を話していたものを、弟子の中谷宇吉郎が書いたとも言われている。元となった言葉は、標題の「天災と国防」に出て来る、
「文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を充分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならないはずであるのに、それがいっこうにできていないのはどういうわけであるか。そのおもな原因は、畢竟(ひっきょう)そういう天災がまれにしか起こらないで、ちょうど人間が前車の顛覆(てんぷく)を忘れたころにそろそろ後車を引き出すようになるからであろう。」(15~16ページ)
という一文だと言われている。
「天災と国防」が書かれたのは、「函館の大火」があり、「室戸台風」が近畿を襲った「昭和9年(1934年)」。今から80年以上前だが、その筆致・内容は、全く古びていない。
ことし(2018年)、「台風21号」の暴風台風は、まさにその「室戸台風」と同じコースを通った。気象予報士の蓬莱大介さんによると、今回の「台風21号」は「第3室戸台風」とでも呼ぶべきものだとのことだった。
「備えあれば憂いなし」
それは心構えの話でもあるよなあ。
と、言っていると、この週末には「台風24号」が近付いてくる。
自然の力は、ものすごい。備えよ!
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