新・ことば事情
6936「"まとわる"と"まつわる"2」
「平成ことば事情455"まとわる"と"まつわる"」の続編です。
2001年以来、17年ぶりに書きます。というのは、NHK放送文化研究所発行の『放送研究と調査2018年9月号』に載った「6月22日のNHK放送用語委員会」での「用語の決定」の中に、
「まとわりつく・まつわりつく」
に関するものがあったのです。NHK放送文化研究所の塩田雄大さんからご教示頂きました。ありがとうございます。
それによりますと、
「『マトワリツク』を第一推奨形とする」
となったそうです。これまでは、
「〇マツワリツク 〇マトワリツク」
の両形を推奨していました。
変更の要因の一つである「ウェブアンケートの結果」(2014年7月実施【921人回答】)によると、
「子どもが母親に【まつわりつく/まとわりつく】」
(ア)「まつわりつく」と言う
(「まとわりつく」とは言わない)= 3%
(イ)「まとわりつく」と言う
(「まつわりつく」とは言わない)=81%
(ウ)両方とも言うが、どちらかといえば「まつわりつく」と言うことのほうが多い=3%
(エ)両方とも言うが、どちらかといえば「まとわりつく」と言うことのほうが多い=9%
(オ)両方とも言うが、それぞれ表す意味が異なる=2%
(カ)どちらも言わない=1%
という結果だったそうです。
「9割の人が『まとわりつく』と言う」
そうで、それを受けての決定ですね。
そして、国語辞典・和英辞典(56冊)での扱いは、かつては,「マトワリツク」「マツワリツク」という形で立項するものは少なかったそうです。(「マトワル」「マツワル」として立項されていたため)
戦前 戦後昭和 平成
【マトワリツク】 0 0 10
【マツワリツク】 0 1 10
また、「国語研日本語ウェブコーパス(NWJC)」(http://bonten.ninjal.ac.jp/)によると、
*「まとわりつく」 =1万1106件/「まつわりつく」 =270件
*「まとわりついて」=1万1648件/「まつわりついて」=305件
だったということです。