新・ことば事情
6935「おもんぱかる2」
2009年に書いた「平成ことば事情3556おもんぱかる」の久々の続きです。
というのは、NHK放送文化研究所発行の『放送研究と調査2018年9月号』に載った「6月22日のNHK放送用語委員会」での「用語の決定」の中に、「おもんぱかる」の読みに関するものがあったのです。NHK放送文化研究所の塩田雄大さんからご教示頂きました。ありがとうございます。
それによりますと、これまでは「〇オモンパカル(半濁音形)」しか認めていなかった
「慮(おもんぱか)る」
ですが、これを
「『オモンパカル』(半濁音形)を第一推奨形とし、『オモンバカル』(濁音形)を第二推奨形として加える。」
と「濁音形」も認める・加えることになったそうです。
根拠として2014年11月に実施した664人回答のウェブアンケートの結果によると、
(A)「相手の気持ちを『おもんばかる』」
(「は」にテンテン)
(B)「相手の気持ちを『おもんぱかる』」
(「は」にマル)
のどちらを使いますか?という問いに対し、
(ア)A・B、どちらも正しい =15%
(イ)Aは正しいが、Bはおかしい=45%
(ウ)Bは正しいが、Aはおかしい=30%
(エ)A・B、どちらもおかしい = 3%
(オ)この言い方を知らない = 7%
で、約半数(48%)の人が、伝統的な「おもんぱかる」(半濁音形)を「おかしい」と感じているという結果が出たのだそうです。一方で、従来の正しい形の「おもんぱかる」を「正しい」と感じた人も約半数(45%)。これでは「どちらか一方」には決められませんよね。
また、国語辞典・和英辞典(56冊)での扱いは、
戦前 戦後昭和 平成
【オモンパカル】(半濁音形)29 10 15
【オモンバカル】(濁音形) 1 1 11
ということで、
「全ての時期(戦前・戦後昭和・平成)を通じて『半濁音形』を主見出しとして立項するものが多いが、平成では『濁音形』を何らかの形で示しているものが多い」
また「国語研日本語ウェブコーパス(NWJC)」からは、
「おもんぱかる」(半濁音形) =201件
「おもんばかる」(濁音形) =293件
「おもんぱかって」(半濁音形)=183件
「おもんばかって」(濁音形) =276件
だったそうです。