新・ことば事情
6924「屋上の『床材』」
8月23日の「台風20号」の上陸で、兵庫・淡路島の風力発電も風車が、根元から折れて倒壊しました。それだけ「風の強い台風」だったのです。
その他、兵庫・西宮のマンションでは、屋根の一部がはがれて駐車場に落下。車が数台、下敷きになってしまいましたが、不幸中の幸いで、けが人などはありませんでした。
それ受けて、その翌日(8月24日)の「ミヤネ屋」の原稿に、
「屋上から10m四方の床材が崩落」
という一文があり、放送前にナレーターの鹿瀬さんから、
「『屋上』に『床材』というのは、違和感があるのですが・・・」
との申し出があり、ディレクターとも相談して、
「屋上から10m四方の建材が崩落」
に直しました。その日の夕刊各紙を見たら、
<読売>=14階建ての屋上のウレタン断熱材がはがれ、約10メートル四方分が地上の駐車場に落下
<朝日>=14階建てのマンションの屋上部分が幅数十メートルにわたりはがれ
【写真キャプション】屋上部がはがれ落ちたマンション
<産経>同県西宮市西宮浜のマンションの屋根の一部が剥がれ駐車場に落下した
【写真キャプション】台風20号による強風のため屋根がはがれたマンション
<日経>同県西宮市西宮浜4丁目のマンションの屋根が飛び
【写真キャプション】マンションの屋根の一部が剥がれ、下の駐車場に落下した
<毎日>西宮のマンションの記事なし。
で、「床材」とした社はありませんでした。当然か。
それで、もう一つ、記事を見ていて思ったのは、
「剥がれる」
という漢字を使っている社と、使っていない社があることです。
「日経と産経」は「剥がれる」を使っていますが、「読売と朝日」は使っていません。「剥」という漢字は「2010年の改訂常用漢字」に入ったので、使っても良いはずなのですが。不思議なのは「産経」で、「本文」では「剥がれる」と使っているのですが、「写真キャプション」では「はがれた」と漢字を使わずに「平仮名」にしていました。まあ、「揺れている表記」なのでしょう。