新・ことば事情
6903「頭髪と毛髪」
17年前の2001年年末に起きた東京・世田谷の一家殺害事件で、遺留品のバッグの中から犯人のものと思われる、
「頭髪2本」
が見つかったというニュースを、8月3日の「ミヤネ屋」の「ニュース250」のコーナーお伝えしました。
そこで疑問に思ったのは、
「『頭髪』と『毛髪』はどう違うのか?」
ということです。辞書を引いてみましょう。
『新明解国語辞典』では、
・「頭髪」=髪の毛
・「毛髪」=「髪の毛」の意の漢語的表現。
とあって、あまり意味の違いは見られませんでした。
『三省堂国語辞典』でも、
・「頭髪」=(文)かみの毛
・「毛髪」=かみの毛
と、意味は全く同じ。「髪」は、
・「髪」=頭にはえる毛。かみの毛。
です。一方『広辞苑』では、
・「頭髪」=あたまの毛。かみのけ。
・「毛髪」=人体の毛。特に髪の毛。毛幹と毛根とから成り、毛根は毛嚢(もうのう)に包まれて真皮内に深く存在し、栄養や毛幹の成長をつかさどる。
とあり、「毛髪」は「あたまの毛」とは限らない立場です。
ニュースでは「頭の毛」ということをしっかりと強調するために「頭髪」としたんでしょうかね。「毛髪」でも問題はなさそうですが。