新・ことば事情
6900「GLBT」
平成ことば事情6627「LGBT(性的少数者)」にも書いたように、
「LGBT」
という言葉が、昨年来、定着したと思いますが、
「GLBT」
という、ちょっと語順が違う言葉を、少し前に見つけていたというスクラップが出て来ました。2016年の漫画雑誌『ビッグコミックオリジナル』10月20日号(小学館)の中の「極めて時評的なコラム」と自ら書いている「オリジナリズム」で、社会学者の
「橋爪大三郎さん」が、
「GLTB歴史博物館」
というタイトルのコラムを書いてらっしゃいました。それによると、「GLBT歴史博物館」というのは、アメリカ・サンフランシスコ市カストロ通りの近くにあり、そこは「ゲイ・レズビアン運動」発祥の地として有名なんだそうです。博物館では1930年に世界初の「性別適合手術」を行ったマグヌス・ヒルシュフ医師(ユダヤ系ドイツ人で自身も同性愛者)の紹介から始まり、GLBTの歴史が紹介されいるそうです。
そして、その「患者」となったのは、デンマークの画家、
「リリー・エルベ」
その生涯を描いた映画、邦題
『リリーのすべて』(原題は『Danish Girl』)
は、2015年に封切られました。先日DVDで見ました。リリーの時代から90年近くが経過しています。
橋爪さんは、
「性的少数者への差別を乗り越えようとするのが、GLBT運動である」
とした上で、
「差別と偏見は今なお、至るところにある。クラスに数人はひっそり、生きづらい思いをしている級友がいるはずだ。誰もがわがこととして、この問題を考える時期が来ている。」
と、コラムを締めくくっています。
これは2年前のコラムですが、その時は「LGBT」ではなく「GLBT」だったのか?と思いました。
それにしても自民党の議員たちは、少数者を思いやるという気持ちと、想像力に欠けているのではないでしょうか。