新・読書日記 2018_112
『孤狼(ころう)の血』(柚月裕子、角川文庫:2017、25第1刷・2018、4、30第16刷)
単行本はKADOKAWAから2015年8月に刊行。それに加筆修正したそうです。
また、「舞台」となった時代は「昭和63年」(=1988年)です。つまり、原則、携帯電話はない時代です。(ヤクザの親分が、「大きな携帯電話」を取り出すという場面は出て来る)「ポケベル」は全盛期ですね。刑事はみんな持たされている。私たちも持たされていましたよ、当時。まだ女子高生なんかは持っていなかった時代です。
最近、書かれたものなのに、まるでその時代(30年前)に書かれたような感覚がある。ハマリますね、これは。
そもそも、この著者のこともよく知らなかったのだけど、「映画化」されて、それを見た友人が「おもしろかった!」と言っていたので、「見たいな」と思っているうちに、ロードショーが終わってしまって、仕方なく「原作本」を読むことに。映画も見たいなあ。
舞台は広島県の「呉原市」という架空の町ですが、「呉」と「三原」を合わせたような。この間の豪雨災害なども思い浮かべながら、行ったことのない「呉原市」を想像しつつ、「仁義なき戦い」のような「広島弁」を味わいながら、グイグイ読み進めました。これを女性作家が書いたというのも、すごいですね。
後半で、ちょっと予想外の展開になったけど、それもまた、おもしろいかな。
夏休みに読むには良い本でした(時間にゆとりがあるので、460ページをまとめて読めた)80ページに出て来た地名の、
「海田」
に、
「かいだ」
とルビが振ってあったけど、広島なら、
「かいた」
じゃないのかな?
star4