新・ことば事情
6890「タイポグリセミア現象」
「平仮名」が続いているときに、よく書き間違えたり読み間違えたり、はたまた間違って書かれているのに正しく読んでしまたりということがあります。先日は「ミヤネ屋」のテロップで、
「かたむつり」
と書かれているのに気付かず、そのまま放送に出してしまいました。もちろん、正しくは、
「かたつむり」
だったわけですが。そういうこと、ありませんか?
この現象には、なんと「名前」が付いていたのです。
「タイポグリセミア現象」
というそうです。つまり、
「文章中の単語の文字を入れ替えても、その文章を問題なく読むことができる現象」
のことだそうです。それをなぜ知ったかというと、ツイッターで紹介されていた、
「どら焼きの広告」
です。それは富山県高岡市にある、どら焼の老舗「中尾清月堂」が、ことし3月に出した広告で、文面は、
みまなさに だじいな おらしせ。
こたのび なかおせいげどつう が
ぜたっいに ばれない ように
どやらき のリニュアールを
おなこいました。
というもの。読めますか?正しくは、以下の通り。赤字で塗った部分です。
みなさまに だいじな おしらせ。
このたび なかおせいげつどう が
ぜったいに ばれない ように
どらやき のリニュアールを
おこないました。
漢字も交ぜて書くと、
皆様に 大事な お知らせ。
この度 中尾清月堂が
絶対に ばれないように
どら焼きの リニューアルを
行ないました。
ですね。「人間の脳」ってすごいですね。
「間違っているものも、勝手に修正して読んじゃう」
んだから!でも、逆に言うと、
「間違っていても気付かない」
という「ヒューマンエラーの原因」でもあるわけですね。
この「どら焼き屋さん」は、こういう手法で「じっくり読んでもらう」ことを目指し、「間違い探し」じゃないけど、「商品に興味を持ってもらおう」という狙いのようですが、なかなか、おもしろいと思いました。ここの「どら焼き」も、食べてみたいです。