新・読書日記 2018_097
『全部やれ。日本テレビのえげつない勝ち方』(戸部田誠・てれびのスキマ、文藝春秋:2018、5、10)
この著者の本は、過去に、
2016読書日記094『1989年のテレビっ子』
2016読書日記204『大人のSMAP論』(速水健朗・みきーる、と共著、宝島新書)
2017読書日記097『笑福亭鶴瓶論』(新潮新書:2017、8、20)
を読んだことがある。「テレビ番組」と「その出演者」について書く専門家。
今回は「テレビ局」と「そこで働く人」(つまり、我々)、特に「日本テレビ」に焦点を当てた。読まざるを得ないでしょう!というか、『週刊文春』に連載当時、最初は読んでいた。でもなんか、毎週読むには内容が濃すぎてか食指が動かず、今回それが単行本にまとまったので、これはまとめて読むしかないと。
読んでいると、もちろん名前を知っている有名な人や、実際に仕事をしたことがある人なども出て来るので、ああ、そうだったのか!と勉強になった部分のある一方、当然のことながら、その中で同時に私も働いてきたのでよく知っていることもあった。そこは一般の読者とは少し視点が違うかもしれない。そして、当然のことながら、この手の「物語」で取り上げられる人々、つまり「プロジェクトX」の主人公たちは、「良い面」「カッコイイ面」しか描かれていない。「書けないような面」は、当然、書けないからだ。それを割り引いてもテレビ史として、よく書けているのではないかと思った。多くの当事者に取材をして話を聞いたというのは、今だからこそ価値のあることである。
この一冊は、タイトルが表わしている言葉「全部やれ。」の発言の主・氏家斉一郎氏と彼を巡る物語とも言えるでしょうね。
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