新・読書日記 2018_092
『看る力~アガワ龍介護入門』(阿川佐和子・大塚宣夫、文春新書:2018、6、20)
おもしろかった・・・と言っては、こういう真面目なテーマなので、ちょっと語弊があるかもしれないが、老人病院専門のお医者さんの大塚先生と、ワガママな父を看取り、また今、認知症の母の介護を体験中の阿川さんの対談は、大変興味深かった。
実際に大塚先生の老人病院に、阿川さんのお父さん・弘之氏は入院していたので、その感想なども交えた「体験談」でもありますね。弘之氏の「供養」にもなりますね。
大塚先生の話で、「確かにそうだな」と思ったのは、「孤独死で何が悪い」です。大塚先生は「世の中では『孤独死』なんてマイナスイメージで言い立てるけど、『孤独死』で何が悪いと思っている」
と言うのです。また男性を引っ張り出すには「大義名分」と「役割」が必要で、男性は「数値化」とか「ランキング化」されたものが大好きで、そういうのをやると、元気が出ると。男の関心はたえず「上か、下か」。でも競い合っているうちはいいが、あからさまに負けたりすると、もう来なくなるのだそうです。・・・私は、男性的ではないな。そして高齢女性の潜在的関心を高めるのは「若い男の子」なのだそうです・・・。
遠藤周作さんから阿川佐和子さんが聞いたって話も、面白かったな。
入院している旦那さんが弱って来て記憶が薄れる中で、最後まで覚えているのは奥さんかお嬢さんの名前。ところが反対に奥さんが弱って来た時に、最初に忘れるのが亭主の名前・・・もう本当に、現実は厳しいわい。
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