新・ことば事情
6885「災害ごみ」
西日本豪雨で浸水して使い物にならなくなった家具や家電、思い出の品などが、大量に捨てられている状態を指して、
「災害ごみ」
という表現が出て来ました。災害によって生まれた「無用物」を、簡単に言う言い方として出て来たのですが、視聴者センターには、
「被災者にとっては大事なものだったのに、『ごみ』とは何だ!」
という苦情も届いています。
客観的には「ごみ」でも、被災された方にとっては「割り切れない思い」があることは、容易に想像が付きます。
実は最初「カタカナ」で、
「災害ゴミ」
という表現も出て来いぇいたのですが、「カタカナ」で書かれた、
「ゴミ」
は、あまりにも冷たく感じられ、「不要」という感じが強くするので、「平仮名」の、
「ごみ」
に直していました。
大切に使って来た物、思い出の品物をまとめて「ごみ」と呼ばれることは、被災した方々にとっては、
「『被災者の存在そのもの』も否定されたように感じる」
のではないでしょうか?
とは言うものの、「ごみ」は「ごみ」。読売新聞等も「災害ごみ」という言葉を使っています。
少し硬い表現をするならば、
「災害廃棄物」
でしょうか?
いろんな思いを抱えている被災した方々がいらっしゃることに思いを馳せながら、言葉を選ぶ必要があるでしょうね。