新・ことば事情
6877「フエゴ山か?フエゴ火山か?2」
「平成ことば事情6829フエゴ山か?フエゴ火山か?」の関連で、6月に行われた新聞用語懇談会放送分科会で各社にどちらを使っているか、質問してみたところ、
【フエゴ山】日本テレビ・KTV・テレビ大阪・テレビ東京
【フエゴ火山】TBS・テレビ朝日・NHK・フジテレビ・ABC・共同通信
でした。各社になぜそうなのかの理由などを聞いてみたところ、
(NHK)決まりはないが、過去の原稿では「フエゴ火山」だった。外国地名は共同通信の「世界年鑑」に準拠している。「キラウエア火山」も「火山」。「マヨン山」というバリ島の火山は「マヨン山」。日本の山は、活火山でも「〇〇火山」とはせず「〇〇山」。外国の火山は「火山である」というなじみが薄いので「〇〇火山」と付けるのではないか。
(日本テレビ)「フエゴ山」だが、理由はわからない。
(テレビ大阪)グアテマラで噴火したのは「フエゴ山」。取り決めはないが、「山」で呼ぶのが一般的ではないか。
(ytv)「フエゴ」はスペイン語で「火」なので「フエゴ火山」とすると「火・火山」となり「重複表現」になるが、言語が違うので許容か?「サハラ砂漠」の「サハラ」もアラビア語で「砂漠」の意味だし、「ゴビ砂漠」の「ゴビ」もモンゴル語で「砂礫(されき)を含むステップ地帯のこと」なので、「ゴビ砂漠」「サハラ砂漠」は「重複表現」に当たるのではないか?「淀川」を英語で「YODOGAWA RIVER」と表現するのも「淀川川」という重複表現になるから「YODO RIVER」とすべきだというのと似ているかも。
というような話し合いがありました。
その後7月4日の「ミヤネ屋」で取り上げた、タイの洞窟で少年ら13人の生存が確認されたというニュースで出て来た洞窟の名前、
「タムルアン洞窟」
について、視聴者の方から、
「『タムルアン洞窟』と何度も言ってますが、『タム』が洞窟という意味で『ルアン』が名称なので、『タムルアン洞窟』の呼び方は重複で、違和感があります。」
というご指摘がありました。
そうだったのか、
「洞窟ルアン洞窟」
という意味だったのか!勉強になるなあ。しかし・・・、
「タム=洞窟」
だとは、日本人はほとんど誰も知らないし、逆にタイ人は「(日本語の)洞窟=タム」だとは、ほとんど誰も知らないから、「わかりやすさ」のためには「タムルアン洞窟」で良いと思いますけどね。
(追記)
『読売新聞』7月22日付に、ハワイのキラウエア火山の噴火が続いていることについてのサイエンスの特集記事が出ていました。そこでは、
「キラウエア山 噴火続く」
というように「火山」ではなく、
「キラウエア山」
という表記でした