新・ことば事情
6873「決壊」
7月13日の「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていたらディレクターが質問してきました。
「道浦さん、これ『小田川の堤防が決壊』としなくちゃダメですかねえ?『の堤防』を省略して『小田川が決壊』ではダメでしょうか?」
「うーん、まあ『決壊』するのは『堤防』とか『ダム』とか、『水をせき止めているもの』で、それが『決壊』するから『川が氾濫』するんだから、やっぱり『小田川の堤防』が『決壊』じゃないかなあ」
と答えてから、いくつか辞書で「決壊」を引くと、どの辞書も、
「堤防やダムが壊れること」
と書かれています。単に「壊れること」ではなく「堤防やダム」が「壊れる」のであれば、「決壊」という言葉の中に「堤防」が含まれているから、逆に「小田川の堤防が決壊」とすると、
「小田川の堤防が堤防が壊れた」
で"重複"ではないのか?それだと「小田川が決壊」でも良いのではないか?と思えて来たので、「の堤防」を略した、
「小田川が決壊」
で放送しました。
グーグル検索では(7月16日)
「小田川が決壊」 = 3790件
「小田川の堤防が決壊」=1万1100件
ということで、従来の「の堤防」が入った形の方が3倍ぐらい。比率は、
「1:3」
といった感じでした。ついでに、
「川が決壊」 =11万9000件
「川の堤防が決壊」= 6万7700件
「堤防が決壊」 =19万0000件
でした。