新・ことば事情
6871「発表と発令2」
「平成ことば事情805 発令と発表」「平成ことば事情5993 発表か?発令か?」の続編です。
7月6日に発生した西日本豪雨。それに伴う「避難勧告」「避難指示」に関して、
「発表」か「発令」かが問題になりました。
7月11日、東広島市に「避難指示」が出た際に、「ミヤネ屋」で林マオアナウンサーが、
「避難指示が発令されました」
と言ったのですが、「避難指示」とはいえ、これは「罰則を伴わない」ので
「避難指示が発表されました」
と「発表」とすべきだと、放送後に一旦は「指示」したのですが、翌日、
「一概には『間違い』とは言えない」
と方針が変わりました。
たしかに、「気象庁」が出す「警報」などは強制力を持たない(「命令」ではない)のであくまで、
「発表」
であり、「発令」ではないのですが、国や自治体が「災害対策基本法」に基づいて出す「避難勧告」「避難指示」は、強制力はありません(罰則はない)が、自治体は、
「発令」
という言葉を使っているところもあります。(自治体の言葉をそのまま使わなくても良い、放送は独自の基準で良いのですが)実質的に、
「危険だから逃げろ」
に当たる、
「避難指示」
は、単なる「発表」よりも強い響きを持つ、
「発令」
のほうが良いのではないか?と、萩原アナウンス部長が話して来ました。
私が「発表と発令」に関して16年前に書いた文章(「平成ことば事情805 発令と発表」)にも同じことが書いてありました。
強制力を持つ(罰則がある)のは、あくまで、
「警戒区域の設定」
で、これは、たとえば「福島第一原発周辺地域への立ち入りが制限」されている、あれです。
しかし、今回の豪雨災害を見るにつけ、命を守るために「避難を促す」意味で、今後は「発表」よりも強い響き・意味の、
「避難勧告」「避難指示」→「発令」を使ってもいい
と思う、という結論に達しました。