新・ことば事情 (2018、7、10)
6859「ジジイ、早すぎる」
落語家・桂歌丸さん(81歳)が亡くなったことを受けて、『笑点』のメンバーが会見を行ったそうです。その中で、「笑点」の大喜利では、歌丸さんを目の敵にして「ライバル」を務めていた六代目・三遊亭円楽さんが、こう言ったそうです。
「ジジイ、早すぎる。」
この、
「ジジイ」
という言葉、それだけを文脈に置かないで聞くと、
「下品で乱暴な言葉」
で、決してお薦めできない言葉なんですが、円楽さん・・・いや楽太郎さんと言うほうが落ち着くな、楽太郎さんと歌丸さんのこれまでの付き合いの中で捉えると、
「なんて愛情深い言葉なんだろうか」
と思わざるを得ないですね。
毒蝮三太夫さんもラジオで、
「ジジイ、ババア」
を連発してるのに大人気だそうだし。毒蝮さん自身が、もうお年が「ジジイ」かもしれませんが・・・。
やはり「愛情」なのですね。言葉は難しい。誰もがマネをしていいというものではない。
不思議と言えば、
「ジージ」「バーバ」
と言うと「かわいらしい」のに、
「ジジー」「ババー」
と伸ばすところを変えると「憎たらしくなる」のは、なぜなんでしょうね?
言葉って、単語単独ではなくて、文脈の中で、いかようにも意味を持たせられる。そういうことを考えさせてくれる一言でありました。合掌。