新・ことば事情
6858「力尽く」
「力尽きる」
というのは「口語・現代語」ですが、
「力尽く」
というのは「文語」だと思います。
しかし「尽きる」だと「3文字」なのに対して「尽く」は「2文字」と、
「1文字少ない」
ために、割とよく新聞などの「見出し」で目にする表現です。
ところが、これを声に出して読んでみると、
「チカラツク」
となり、「口語・現代語」の感覚で言うと、
「力付く」
に聞こえて違和感があります。「力が付く」という意味です。
これは、先日「平成ことば事情6856」で書いた「袂を分かつ」の過去形を、「袂を分かった」とすると「分かった」が「理解した」の「分かった」のように感じられて違和感があるのと同じですね。
これらは「文語的」表現が「現代語表現」の中に取り入れられていることによって、従来の現代語表現と衝突を起こす現象と言えましょう。文法的には間違っていないのに、ヘンな感じがするのです。
こういった例は、他にも結構あるのではないでしょうか?