新・ことば事情
6855「抜去」
国会議員の事務所などが入っている参議院議員会館の敷地内に、なんと「大麻草」が生えていることが分かり、東京都福祉保健局の担当者によって、
「抜去」
されたそうです。(6月22日)
この「抜去」という言葉、読み方は、
「ばっきょ」
でしょうね。意味は、字の示すごとく、
「抜き去る」
でしょうが、あまり目にしない言葉です。
国語辞典には載っているのか、調べてみました。
『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『旺文社標準国語辞典』『デジタル大辞泉』『三省堂国語辞典』『現代国語例解辞典』『岩波国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『NHK日本語発音アクセント新辞典』にも「抜去」は載っていませんでした。
もしかしたら「専門用語」かもしれませんね。同じような響きで全く別の言葉、アメリカンフットボール用語の、
「罰退(ばったい)」
も載っていませんでしたから。
グーグル検索では(7月9日)、
「抜去」=58万4000件
出て来ましたが、その上位に出て来たものを見ると、どうやら、
「歯科用語」
として、よく使われているようです。すなわち、
「歯を抜去する」
というような形で。また、やはり医学関連では、
「自己抜去」
という言葉も出てきて(看護用語)、これは、
「患者が点滴のチューブなどを無意識、あるいは、故意に引き抜いてしまうこと」
だそうです。他にも、
「カテーテルの抜去」
がありました。ということは「抜去」はそもそも、
「医学用語」
のようですね。それを「大麻草」に使うというのは、
「大麻草は医学用語」
という判断なのですかね?