新・ことば事情
6850「騒然の夜」
6月20日の「ミヤネ屋」で、前日のロシア・ワールドカップ初戦のコロンビア戦の勝利の様子をお伝えしました。その際に、事前にナレーターのNさんから、
「原稿に『カメラが捉えた騒然の夜』という一文があるのですが、これは、このままでいいのでしょうか?」
と聞かれました。確かに、
「騒然の夜」
というのは、ちょっと聞き慣れない表現です。普通ならば、
「騒然とした夜」
とするところでしょうね。でも、最近はやりの文章表現として、
「『おいしい』をお届けする」
「『うまい』を追求する」
「『キレイ』をあなたに」
といったように、
「形容詞をそのまま名詞として使う表現」
が多用されています。特にCMなどの世界で。
この「騒然の夜」も、「騒然とした」を「騒然」という漢字2文字に圧縮している、カギカッコ付きの、
「『騒然』の夜」
という使い方なので、
「絶対にダメ、とまでは言えないのではないか?」
と答え、そのまま放送しました。
「騒然と」は形容詞ではなく「副詞」だと思いますが。もしくは「騒然たり」という文語の「形容動詞」かな?