新・ことば事情
6834「エンゼルス2」
大谷翔平選手が入団したメジャーリーグの、
「エンゼルス」
ですが、「天使」の意味の英語、
「Angels」
ですよね。これって「大リーグ」と言っていた昔は「エンゼルス」で良かったかもしれないけど、今は
「エンジェルス」
の方がいいのではないか?と思うのです。しかしほぼ全メディア「エンゼルス」で、
「NHKのみ『エンジェルス』」
となっています。また、「ウィキペディア」によると「チーム名の変遷」は、
ロサンゼルス・エンゼルス (1961年 - 1965年)
→カリフォルニア・エンゼルス (1966年 - 1996年)
→アナハイム・エンゼルス (1997年 - 2004年)
→ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム (2005年 - 2015年)
→ロサンゼルス・エンゼルス (2016年 - )
だそうです。元の名前に戻ってしまったのですね。昔「エンゼルス」を取り上げた映画を見た覚えがあるなあ。
でもよく考えたら「ロサンゼルス」という地名は、
「ロス・アンジェルス」=「Los Angels」
なので、
「『天使』のスペイン語の複数形」
であって、「ロサンゼルス・エンゼルス」と言うと、
「天使天使」
と「重複している」感じですよね。スペイン語と英語だからいいのか?
だとすると、日本では
「虎タイガース」「巨人ジャイアンツ」「竜ドラゴンズ」
「鯉カープ」「燕スワローズ」「港星ベイスターズ」
みたいな感じ?
もし新潟県の「燕三条市」に拠点があるチーム名に「スワローズ」というニックネームを付けると
「燕スワローズ」
ですね。
先日の山形での用語懇談会総会で、TBSの委員からこの話題が出ました。
『大谷翔平選手の所属しているアメリカ・メジャーリーグの「エンンゼルス」ですが、各社「エンゼルス」と「ゼ」で表記・発音している中で、NHKさんは「エンジェルス」と「ジェ」で発音しているように聞こえるが、これはなぜか?そして選手名では、その「エンゼルス」のドミニカ出身「アルバート・プホルス選手」の表記も「プホルズ」「プーホルス」「プホールス」「プーホールス」「プーホールズ」など表記にバラツキがあるが、これはどうするか?』
これに対する各社の委員からの意見は、
(毎日放送)「オリックス」から「エンゼルス」に移籍した長谷川滋利投手が、その後NHKで解説者をしていたが、長谷川さんは「『エンゼルス』はおかしい。『エンジェルス』だ」と常に言っていたので、その影響があるのでは?
(NHK)そのあたりはわからないが、『NHK日本語発音アクセント新辞典』(2016年発行)でも、それまでは「エンゼル」しか認めていなかったのに、『新辞典』では「エンジェル」をメーンの見出しで採用し「エンゼル」を許容にしたことも影響しているのかもしれない。しかし「ロサンゼルス」という表記・発音は、そのまま。「ロサンジェルス」は採用していない。
(読売テレビ)「原音」を重視するのであれば「ヤンキース」は「ヤンキーズ」、「タイガース」は「タイガーズ」というように語尾は「ス」ではなく「ズ」にすべきなのに、そういった動きはない。「エンゼルス」→「エンジェルス」への変化は、「大リーグ」→「メジャーリーグ」への変化と同じテンポで起きているように思える。』
というような議論がありました。
(2018、6、13)
(追記)
大谷翔平選手が2年ぶり2度目、満票でMVPに選出されました。
取るとは思っていたけど、取ったらやっぱりすごい!
それで調べてみたら、やっぱり前に書いていました。
平成ことば事情3771「エンゼルス」
平成ことば事情6630「エンゼルスか?エンジェルスか?」
も併せてお読みください。