新・ことば事情
6833「白ご飯」
6月6日の読売新聞「くらし」欄(家庭欄)の「和を食す~食卓は今2」に、こんな見出しが出ていました。
「白ご飯 味がなく苦手」
お!「白ご飯」という言葉が新聞の「見出し」に使われている!記事を読んでみると、本文の中には「白ご飯」はなく、
「白いご飯」
とちゃんと「い」が入った形で表現されていました。あくまで「俗語」扱いだと思います。
そこで「国語辞典」には「白ご飯」が載っているかどうか?また「白〇〇」という、
「色の形容詞の語幹『白』と名詞が一体化した名詞」
が載っているかどうか、「ご飯」近辺の「白〇〇」についても調べてみました。手元にあった国語辞典は10種類でした。(電子辞書を含む。( )内は版数)
見出し語として載っていたら〇、載っていなかったら×で示しました。
白ご飯 白めし 白ごま 白ごめ 白胡椒 白酒 白砂糖(合計)
広辞苑 × × 〇 〇 〇 〇 〇 5
明鏡 × × × × × 〇 〇 2
新明解 × × × × × 〇 〇 2
旺文社 × × × × × 〇 × 1
精選版日国× × 〇 〇 〇 〇 〇 5
D大辞泉 × × 〇 〇 〇 〇 〇 5
岩波国語 × × × × × 〇 × 1
三国 〇 〇 × × 〇 〇 〇 5
現国例解 × × × × × 〇 〇 2
新潮現代 × × 〇 × × 〇 〇 3
(合計) 1 1 4 3 4 10 8
10種類の国語辞典のうち、唯一「白ご飯」を載せていたのは通称「三国」こと『三省堂国語事典』です。さすが!語釈は、
「『しろめし』の美化語」
とシンプルです。「白飯」と書くのでしょうが「しろめし」、載っているか見てみたら、やはりこれも載せているのは「三国」だけでした。一方「白酒」は10種類全部の辞書が載せていました。「白砂糖」も8種類の辞書が載せていました。「白ごま」「白胡椒」は、やや古めの大型の辞書が載せていました。
こういった目立たない言葉も、ちょっとずつ変わってきているのですね。毎日食べてるのにね。ただ、私はふだんは普通に、
「ご飯」
と呼び、「白ご飯」とは言いません。対比・比較対象として、
「炊き込みご飯」「焼き飯」「チャーハン」
などがある場合には、
「白いご飯、ちょうだい」
とは言いますが「白ご飯」とは、私は言いませんね。家族は言うかもしれません。