新・ことば事情
6809「ピュリツァー賞か?ピューリッツァー賞か?」
優れたジャーナリストに与えられるアメリカの有名な賞の名前が、日本新聞協会が出している『新聞用語集2007年版』では、
「ピュリツァー賞」
という表記になっているのですが、違和感があります。一般的には、
「ピューリッツァー賞」
と「ピュー」が伸びて「リ」の後に「小さいッ」が入るか、
「ピュリッツァー賞」
と「ピュ」は伸びないけど「リ」の後に「小さいッ」入っているのではないでしょうか?
わかりにくいので、音楽のリズム=音符でも書いてみますね。
グーグル検索では(5月8日)、
(A)♪♪♩♩「ピュリツァー賞」 = 8万4700件
(B)♩♩♩♩「ピューリッツァー賞」=11万5000件
(C)♪♩♩♩「ピュリッツァー賞」 = 6万0200件
となっています。ここから「賞」を取ったら、
(A)♪♪♩「ピュリツァー」 = 8万8300件
(B)♩♩♩「ピューリッツァー」= 34万2000件
(C)♪♩♩「ピュリッツァー」 =293万0000件
でした。
5月24日に山形市で開かれた「新聞用語懇談会春季合同総会」の席で各社に質問したところ、こんな回答が返ってきました。
(共同通信)『新聞用語集』と同じ表記。
(NHK)『ことばのハンドブック』も『NHK日本語発音アクセント新辞典』も『新聞用語集』と同じく(A)「ピュリツァー賞」。(会社に戻って確認したら『NHK日本語発音アクセント辞典』には、『新・旧』共に、この言葉は載っていなかったが。)
(日本テレビ)「表記」は「読み」を縛らない。(必ずしも「表記と読み」は一致しなくてもよい。)「促音」は、どんどん伸びている。(A)「ピュリツァー賞」と書いてあっても、みんな(B)「ピューリッツアー賞」と読んでいる。
(読売テレビ)たしかに「マネジャー」と書いてあっても「マネージャー」、「ジャージー」と書いてあっても「ジャージ」、「パーカ」と書いてあっても「パーカー」、「ファストフード」と書いてあっても「ファーストフード」と読む傾向にはあるが・・・。
ちなみに、4月17日の「ミヤネ屋」の「250ニュース」で、「Me Too」など一連のハリウッドでのハーベイ・ワインスタイン氏の「セクハラ問題」追及の運動を伝えた「ニューヨーク・タイムズ」紙と「ニューヨーカー」誌が、(A)「ピュリツァー賞」を受賞したと伝えた際に、日本テレビはスーパー・ナレーション共に、
(B)「ピューリッツアー賞」
でした。やはり、
「発音につられて、表記が変わる」
こともあるのではないでしょうか?
読売テレビ側は読売新聞社の『読売スタイルブック2017』の表記に合わせて、
(A)「ピュリツァー賞」
でスーパーしました。