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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_074

『国体論~菊と星条旗』(白井聡、集英社新書:2018、4、22)

2013読書日記156で読んだ『永続敗戦論~戦後日本の核心』(太田出版:2013)の著者・白井聡氏の新著。硬い本なのに、出てすぐ「5刷」とかになっていてビックリ!この本を読む人がそんなにいたとは!日本も捨てたもんじゃないと思った。

ザクッと言うと、太平洋戦争の敗戦によって、それまでの「大日本帝国」は滅んで「民主・日本」が出来て、戦後73年を経過した、というのが一般的日本人の認識だ。それに対し白井は「敗戦状態は依然、続いている」=「永続敗戦論」を唱えたのだが、その「根幹」にある者は何か?について今回は書いた。それは、

「国体」

だと。もちろん「国民体育大会」ではなく、

「国の芯となるもの」

である。「国体」と言えば、戦前はもちろん、

「天皇」

だった。敗戦後に「国体護持」が言われてGHQに嘆願、マッカーサーは、

「天皇を形として残した方が、戦後統治が行いやすい」

と判断して、天皇を残した。「国体」は形式だけは守られた。

戦後、天皇は「国民統合の象徴」となって、「国体」と言えるものは無くなった、あるいは「国民」こそが「国体」であると思い込んでいたが、

「実は戦後の『国体』は、『アメリカ』である」

と、白井は喝破したのである。それが、サブタイトルの、

「菊と星条旗」

すなわち、

「菊=天皇、星条旗=アメリカ」

という「戦前・前後の国体」であると。

なるほど、それだと「アメリカ追従の政治」という"日本政治の基本路線"も納得できる。

でも、それで「独立国」と言えるの?アメリカの「属国」にすぎないのではないか。「アメリカの51番目の州」なのか?日本は?

その呪縛を解くためには「日米安保条約の見直し」が必要になって来る。そこで一番の問題は「防衛」であり「軍隊」の問題になって来て、当然「憲法第9条」の問題に突き当たるのだが。いろいろ考えさせられる一冊。

今、2013読書日記156『永続敗戦論~戦後日本の核心』を読んでみると、私はこう書いていた。

『この本で著者は、「天皇にとって安保体制こそが戦後の『国体』として位置づけられはずなのである。そしてこのとき、永続敗戦は『戦後の国体』そのものとなった」と記している。「永続敗戦」とは何か?うーん、わかりやすい言葉で端的に言うと、「アメリカの属国化」かなあ・・・。「終戦」だと、「戦争は終わり」で「けじめ」が付くが、未だに「敗戦」を背負い続けている。一見「独立」しているように見えて、「真の独立」はなしえていない、ということか。』

つまり著者は、今回の本でも同じことを、形を変えて伝えていると言えるだろう。


star4

(2018、5、15読了)

2018年6月 2日 12:40 | コメント (0)