新・ことば事情
6790「米朝のアクセント」
4月9日、落語家でタレントの月亭可朝さんが、急性肺線維症のため3月28日に亡くなっていたことが分かりました。80歳でした。もう80歳だったのか!その年齢にも驚きました。可朝さんというと私達の世代は知っていますが、若い人は知らんかなあ。
「♪ボインは、お父ちゃんのためにあるんや、ないんやで~」
という「嘆きのボイン」が有名ですが、落語家としては桂米朝さんに入門して、
「桂小米朝」(2代目)
の名をもらっていたが、後に改名したということは、知識としては知っていました。
ということで、このニュースの中で、師匠の、
「桂米朝」
という名前が出て来て、この「米朝」を、黒木千晶アナウンサーが、
「ベ/―チョ\ー」
というアクセントで読んだのを聞いた、現在「かんさい情報ネットten.」のフィールドキャスターをやっている大田良平・元アナウンサーが、
「アクセントはどれが正しいんでしょうか?僕は『頭高アクセント』で『ベ\―チョー』って言うんですけど」
と聞いて来ました。これに対して、
「標準語アクセントだと、黒木の『ベ/ーチョ\ー』という『中高アクセント』だろうな。『志ん朝』だって『シ/ンチョ\ー』と『中高アクセント』だろ。でも関西弁では『頭高アクセント』の『ベ\ーチョー』だろうね。また、近しい人たちは『平板アクセント』で『ベーチョー(師匠・さん)』ということもあるだろうね。標準語の『平板アクセント』だと『ベ/ーチョー』だけど、関西弁の場合は最初の『ベ』から全部の音が高い『平板アクセント』だけどね。」
と答えました。「頭高アクセント」の「ベ\ーチョー」と言うと、
「米朝首脳会談」
のような、
「アメリカと北朝鮮」
の略語のように、私などは感じてしまいます。
なお、可朝さんの「ボイン」の話に戻ると、
「ボイン」
という言葉は、日本テレビの『11PM』の司会をしていた大橋巨泉さんが、アシスタントをしていた朝丘雪路さん(津川雅彦さんの奥様)のバストに対して言った言葉だと言われています。今なら、
「巨乳」
でしょう。(朝丘さんも、現在82歳です。)
「野球は巨人、司会は巨泉」
と言っていた巨泉さんですから、「ボイン」よりも「巨乳」のほうが、フレーズ的にはピッタリきたのではないか?つまり、
「野球は巨人、司会は巨泉、雪路は巨乳」
下品だねえ~!などと言いながら。今なら「セクハラ」で「即、アウト!」ですね。
つまりは「時代が変わった」ということでしょう。40年以上、経ってるものね。合掌。