新・ことば事情
6787「混じると混ざる」
4月10日お昼の日本テレビ系「ストレイトニュース」で、元NHK・山形放送局記者の強姦致傷事件の初公判の様子を報じていました。その中で、現場に残されたDNA型が、被告のものと別のものが、
「混ざっていた」
とスーパー(テロップ)には出ましたが、裁判所前から中継で伝えていた地元・山形放送のアナウンサー(だと思う。上手だった)は、
「混じっていた」
と話していました。「混ざる」と「混じる」はどう違うのでしょうか?
「意味上」はほとんど、
「違わない」
ですね。でもそれを、
「おんなじやないか!」
と切り捨てしまえば、進歩はありません。考えてみましょう!
私の語感で言うと、
*「混ざる」=意図せずして入ってしまう
*「混じる」=意志を持って入っていく
という違いがあるように思うのですね。
こんなときは『語感の辞典』かな。・・・載ってた!
*「混ざる」=ある種類のものに他の種類のものが少なからず入り込んで一体化する意で、くだけた会話から硬い文章まで幅広く使われる日常の基本的和語。(例)二つの色が混ざる、紅茶にミルクが混ざる ※「混じる」より混合比が大きい感じがある。
*「混じる」=別種のものが混合する意で、くだけた会話から硬い文章まで広く使われる和語。(例)酒に水が混じる、赤に黄色が混じる、外国人の血が混じる、主観が混じる ※水上勉の『雁の寺』に「つきあげてくる嬉しさとかなしみがまじって膝を固くした」とある。「交じる」と違い、異種のものが融けあって判別しにくくなった状態の場合に用いる表記。なお、「不純物が混じる」のように好ましくないものの場合には「雑じる」と書く例もある。
ということで、ポイントは「混ざる」の注意書きにあった、
『(「混ざる」は)「混じる」より混合比が大きい感じがある』
でしょうね。言われて見れば、そんな感じもしますね。
いずれにせよ、「混ざる」と「混じる」は、微妙にニュアンスが異なりそうです。
意味は同じ。