新・ことば事情
6774「退職か?退局か?」
NHKの有働由美子アナウンサーが、3月31日をもって、27年間勤めたNHKをやめました。それを指して、
「退職」
というのか?
「退局」
というのか?
4月4日の新聞各紙は、
【退職】スポーツ報知・ニッカンスポーツ・サンケイスポーツ・毎日・産経・日経
【退局】スポーツニッポン・デイリースポーツ・読売・朝日
というように、
「退職:退局=6:4」
でした。
以前、女優の野際陽子さんが亡くなった時に、昔NHKを辞めたことを「退職」「退社」「退局」のどれを使うか?ということを、去年7月の新聞用語懇談会放送分科会で質問しました。そのときの各社の回答は、
(NHK)「退局」は原稿にはなかった。「入局」「退局」も「入った」「やめた」と和語で言い換える。
(フジテレビ)野際陽子さんは「女優に転身」という表現で「NHKをやめた」という関係の表現はなかった。
(TBS)野際さんはNHKを離れた後は「TBS」の番組に来られたので、この場合は「TBSが抜擢」か。(笑)
(テレビ東京)野際陽子氏については、元NHKアナウンサーで民放(テレビ東京)に移ったという「経験者である私」(=発言者)から言わせてもらうと、外部から言われた表現は、全部「退職」だった。
ということでした。
4月4日の「ミヤネ屋」で、有働アナウンサーに関しては、「NHKに入った」のは、
「入局」
にしました。この「入社」「入局」に関しては、以前、野際陽子さんが亡くなった際に、
「NHKに入社」
としたら視聴者の方から
「NHKは『入局』と言うのだ」
というご指摘があったこともあり、「入局」にしたのです。
しかし「NHKをやめた」ことに関しては、
「退職」
で放送しました。「入局」の「対」は「退局」ですが、これはなじまないということと、この日取り上げた「日刊スポーツ」は「退職」だったので、担当ディレクターの主張に合わせて、
「退職」
にしたものです。
「就職」の中に「入社」「入局」があり、「退職」の中に「退社」「退局」が含まれますよね。