新・ことば事情
6796「ピューリッツアー賞か?ピュリツァー賞か?」
4月17日の「ミヤネ屋」の「250ニュース」で、「Me Too」など一連のハリウッドでのハーベイ・ワインスタイン氏の「セクハラ問題」追及の運動を伝えた「ニューヨーク・タイムズ」紙と「ニューヨーカー」誌が、
「ピュリツァー賞」
を受賞したと伝えました。その際に日本テレビは、
「ピューリッツアー賞」
というスーパー・ナレーションでしたが、読売テレビ側は、読売新聞社の『読売スタイルブック2017』の表記に合わせて、
「ピュリツァー賞」
でスーパーしました。4月17日の夕刊各紙は、
読売新聞、毎日新聞、朝日新聞、共同通信(産経新聞、日経新聞) とも、
「ピュリツアー賞」
でした。
グーグル検索(4月18日)では、
「ピューリッツアー賞」= 8490件
「ピュリツアー賞」 =31万7000件
でした。
(2018、4、18)
2018年4月18日 23:34
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新・読書日記
2018_055
『フォークソングの東京~聖地巡礼1968―1985』(金澤信幸、講談社:2018、3、15)
著者の金澤さんは、編集者としての仕事の傍ら、
『バラ肉のバラって何?~誰かに教えたくてたまらなくなる"あの言葉"の本当の意味』((講談社文庫、2013)
『サランラップのサランって何?~誰かに話したくてしかたなくなる"あの名前"の意外な由来 』(講談社文庫、2015)
という、とってもおもしろい本を書いている。両方読みました。「読書日記」に感想を書いたところ金澤さんの目に留まり、今回も新著を贈っていただきました。ありがとうございます。
これも、私の興味の「どストライク」の本なので、楽しみ楽しみながら読みました!しかし、金澤さんは私よりも6歳年上なので、時代の感覚が全くシンクロしているというわけではない。やはり子どもの時の「6歳」というのは、大きい。今となってはおんなじだけど。私が小6の時に高3だからね。(あ、うちの下の弟と私が6歳違いだ。)そういう意味で、私がフォークソングなどに触れて夢中になった時期と、金澤さんが夢中になった時期は少しずれているので、「知識」としては知っていても「時代の空気」は、当時は分からなかった。それをこの本で「学ばせてもらった」感じでした。しかし、それぞれの出来事を追いながら「コンサート・ライブ会場を中心とした場所」に注目し、その「場所」が現在はどうなっているかをフォローすることで、時代を超えた立体的なものとして話が立ち上がってきたように思います。いくつかの「場所」(新宿厚生年金会館や武道館など)は、私も実際に行ったことがあり、なおかつ大学時代に合唱団員として「ステージに立って歌った」こともある所だったので、その意味でも懐かしく興味深く読めました。
さだまさしの「木根川橋」も懐かしい。「はっぴいえんど」特に大瀧詠一の話なんかは、水道橋博士の本や中川右介さんの本でも読んでいたが、それとはまた違う側面、もっと初期の結成された当時の話は知らなかったので「そうだったのか」と勉強になりました。小田和正などとのからみも。もうこれは、フォークの「ときわ荘物語」やね!
1か所、「あれ?これは合っているのかな・誤植かな?」と思ったのは、
『「今はまだ人生を語らず」は80年にCD化され』(145ページ1行目)
この「CD登場」は、私の記憶では「1982年」だったと思うのですが・・・と、金澤さんに連絡したところ、
「1986年でした。重版がかかれば修正します」
とのことでしたので、皆さん、買ってください!重版かけましょう。
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(2018、4、7読了)
2018年4月15日 18:31
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新・読書日記
2018_054
『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎、光文社新書:2017、5、20第1刷・2017、9、25第9刷)
ハッキリ言って「バッタ」に興味はなかった。
もちろん、「食料を食べ尽くしてしまうバッタの被害を食い止めるには?」というようなことはとても重要だと思うが、自分から研究や調査を行おうとは思わない。虫は、どちらかというと苦手だ。子どもの時は「虫取り」もしたけど、大人になってからは、あまり触りたいとは思わない。最近は余り目にしなくなったが子どもの頃は天敵だったゴキブリとか、大学時代の下宿に出現したカマドウマなんて、もうホントにイヤでイヤでたまらなかった・・・でも世の中には、そんなバッタが大好きな人もいるんですよね。著者はバッタが大好きで、
「バッタに食べられたい」
という「ドM」な考えまで持っている、表紙の、
「仮面ライダーのできそこないのような恰好をした男」
が著者だが、これ「イラスト」だとずっと思っていたが、ある時よく見ると「写真」ではないか!なんだコイツは!?
本の帯には、
「バッタ被害を食い止めるため、バッタ博士は単身、モーリタニアへと旅立った。それが修羅への道とも知らずに・・・」
とある。「第11回新書大賞2018」や「第71回毎日出版文化賞」を受賞したということで興味を持ち、読んでみた。
おもしろい。
これは「バッタ版・深夜特急」ではないか!
ユーモアあふれる文体も、自らを客観視できる俯瞰した目を持っているからだと思う。
バッタを追いながらモーリタニアという国の人間を描き、その人間と人間の交流・・・
著者の「前野ウルド浩太郎」という名前の、違和感のあるミドルネーム「ウルド」というのは、別に彼がモーリタニア生まれなのではなく(秋田県生まれだ)、モーリタニアでの研究活動が認められて現地のミドルネーム「ウルド(○○の子孫の意)」を授かったものだ。それだけ「お互いの絆」が感じられるね。
また、「ポスドク」という立場の苦悩が、如実に描かれているというのも、学者や学者の卵でないと分からない世界だなあと思いました。
おもしろいやないか!オススメです!
参考までに「新書大賞2018」の「ベスト10」(9位が2つ)は、以下の通り。
【大賞】前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)
【2位】河合雅司『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)【3位】三谷太一郎『日本の近代とは何であったか 問題史的考察』(岩波新書)
【4位】水島治郎『ポピュリズムとは何か』(中公新書)
【5位】楠木新『定年後』(中公新書)
【6位】伊藤公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(光文社新書)
【7位】金成隆一『ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く』(岩波新書)
【8位】藤原辰史『トラクターの世界史』(中公新書)
【9位】磯田道史『日本史の内幕』(中公新書)
【9位】亀田俊和『観応の擾乱』(中公新書)
トヨザキ社長によると「新書大賞」は、「中央公論新社が主催しているにもかかわらず、中公新書から出た本は一度しか大賞を受賞していません。外部の識者から投票を募るというシステムが生むフェアさが素敵な賞といえます。」だそうです。
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(2018、4、2)
2018年4月13日 15:59
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新・読書日記
2018_053
『脳は回復する~高次脳機能障害からの脱出』(鈴木大介、新潮新書:2018、2、20)
著者の鈴木大介さんは1974年生まれのルポライター。「貧困女性」をテーマに取材し、『最貧困女子』『最貧困シングルマザー』という、世の中の光の当たりにくい人たちに関して取材し、足で本を書いてきたのを読んだ。「ああ、これは昔ながらのルポだな。すごいなあ。」と思って読んでいた。そしたら急に「脳梗塞」となったという。次に出た本が『脳が壊れた』だ。え!一体どうしたの?と思って読んだ。ホントに脳が完全に壊れたら、本は書けないよな?と思いながら。そうすると本当に脳が壊れたのだけれども、そこから懸命のリハビリを行って来た、と。その様子を書いている。だから『脳は回復する』のだ。つまり「ルポの取材対象を『自分自身』にした」のだ。そしてその後の様子。今度は取材対象を「周囲の人たち」まで、「奥さんまで」含めて、周りの様子から自分の様子を映し出す。もちろん、自分の内面も吐露するのだけれど、それだと「独りよがり」になる部分もあるから、そうではない書き方で回復の様子を描いていく一冊。若くして脳梗塞になって後遺症が残った人の「高次脳機能障害からの脱出方法」の手掛かりになる一冊。
そこで分かったことは、「これまで彼が取材して来た『最貧困女子』の中の『困った人たち』に見られた、理解の出来ない行動が、脳が壊れた今になって初めて分かった」と。
そんな人たちを、彼の奥さんは「脳コワさん」とネーミングした。かわいい。これも個性なんだね。本は、ちょっと話が長くて、途中はザッと読んだ部分もあるけどが、ユーモアを交えた文体は楽しい。頑張ってほしいです。
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(2018、4、2読了)
2018年4月12日 21:37
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新・読書日記
2018_ 052
『老後破産~長寿という悪夢』(NHKスペシャル取材班、新潮文庫:2018、2、1)
来るべき将来に備えて今から心構えというか、こういうようにならない様に準備をしなくてはならない。そのための"予習"と思って読んだ。NHKの番組は見ていなかったのだが、おそらく番組以上に、具体的な描写は「客観的な感じ」に見える。「感性」ではなく「事実を客観的に理解させるような描写」である。
近い将来、こういった事態が日本を襲うことは分かっているはずだ。「政治」は、それを如何にソフトランディングさせるのか?そのために一体何をしてくれるのか?我々の税金を使って・・・。
まだ自分は「老後」じゃないから、少し他人事と思っていたが、よく考えたら、うち両親はしっかり「老後」だった・・・・。
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(2018、3、26読了)
2018年4月12日 09:36
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新・読書日記
2018_051
『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(河治良幸、内外出版社:2017、9、1)
ワールドカップイヤーである(ロシア)。
それなのにあと2か月で開幕!というところで、なんと日本代表監督(ハリルホジッチ)解任である。これは大変な事態なのに、あまりバタついていないのは、なぜだろう?あまり期待していないからではなかろうか?
それはさておき、著者は1973年生まれのスポーツジャーナリスト。
その彼が、5人の専門家に話を聞いて、
「どういうふうにテレビ中継の解説者の言葉を聞けばサッカーが解るのか?」
ということを聞き出すインタビュー本。その5人の専門家というのは、
反町康治・都並敏史・柄沢晃弘アナ(WOWOW)・後藤健生・中西哲生の5人。
このうち、柄沢アナウンサーは知り合い(同期)なので、ヨーロッパサッカーの取材・実況経験の長い彼がどのように答えるのか?に大変興味を持って読んだ。こんな本、出たのなら教えてくれれば良いのに!たまたま見つけて購入したんです。
彼はやはり「アナウンサー」だった。「解説者とどのようにチームを組んで、上手く盛り上げて話させるか?」というようなアナウンサー的視点の話で、共感が得られました。
他も「へえー」と思うような話が、たくさん引き出されていて、楽しかったです。
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(2018、3、28読了)
2018年4月11日 21:35
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新・読書日記
2018_050
『建物と日本人 移ろいゆく物語』(共同通信社取材版、東京書籍:2012、6、26)
6年前に購入していて、ようやく読み通せました。ふんだんにカラー写真も載っているのだが、一つ一つのコラムが細切れになるので、読み通すのは意外にもなかなか難しい。最初に、先日(と言っても昨年末に)東京の博物館で見た安藤忠雄の十字架の「光の教会」(大阪・茨木市)が載っていたので、一気に読もうという気になった。
高松丸亀町商店街のガラスドームの天井や、五島列島の教会、東京都庭園美術館(旧・朝香宮邸)、沖縄の佐喜真美術館、宮崎・西の正倉院など、行ってみたいなと思った。
「建物」はやはり「人間の暮らしの歴史」を表すのだなと改めて思った。
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(2018、3、26読了)
2018年4月11日 08:33
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新・読書日記
2018_049
『いつも日本語で悩んでいます~日常語・新語・難語・使い方』朝日新聞校閲センター、さくら舎:21018、3、10)
この本は「朝日新聞・朝刊」で連載しているコラム「ことばの広場」の2015年4月8日~2017年12月6日までに掲載されたものを書籍化したものだそうです。ああ、それなら毎週、コピーして切り抜いてスクラップしてるから全部読んでるし、本を買わなくても・・・とも思いましたが、やはり本になるとちょっと雰囲気が違うんですよね。それに新聞用語懇談会でご一緒している方たちが書いているので、これは買わなくては!と。
ちょうど「見開き2ページで1つのテーマ」なので、とても読みやすかったです。
章立てとしては5つ。
-
覚え違いしていませんか?~ことばづかいの死角
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どう書く?どう読む?~迷ってしまうことば対策
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ほんとうの意味は?~字源・語源がおもしろい
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進化、それとも当然変異?~激動することばたち
-
さらに磨きたい!~日本語感覚
というふうになっています。この手の本は、この「章立て」が、結構難しいんですよね。
大体読んでいるので、それほど目新しくはなかったんですが、「『真逆』の広がり」(116-117ページ)で、知り合いの法政大学の尾谷昌則先生が出て来て「お!」っと思ったり、私が知らない若い言語学関係の先生のお名前が結構、出て来たので、勉強になりました。
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(2018、3、26読了)
2018年4月10日 23:32
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新・読書日記
2018_048
『生き残る芸能人のすごい処世術~大物たちのここだけの話』(城下尊之、KKベストセラーズ:2017、10、30)
「ミヤネ屋」にご出演頂いている著者・城下さんに頂きました。ありがとうございます。でも、なかなか読めずにいて「早く読まなきゃ!」と思っていて、ようやく読み終えました。読み出すと、最初は、
「新聞(日刊ゲンダイ)に連載していたものだから、芸能人のヨイショが書かれていて、あまり批判とかの裏話はないのでは?」
と感じて読んでいたのですが、真ん中あたりから、
「おや?こんな目線でも書いているんだ」
と面白くなってきて、途中から一気に読み切りました。
章立ては「第1章 人心掌握術」「第2章 危機管理」「第3章 気遣い」「第4章 プロ意識」「第5章 人間力」と、一応「ビジネス書らしい感じ」に分けられてはいるけれど、それはあんまり関係なかった感じ。30数年の芸能ジャーナリストとしてのあらゆる知見を、余すところなく(?)披露してくれています。
中でも、ちょうど騒動になっている「ビートたけしさん」に関するところや、つい先日亡くなって、きのう(4月3日)「お別れの会」が開かれた「左とん平さん」など、まさに「旬」の人(もう、亡くなってはいるが)が出て来て興味深かったです。
また「松田聖子」さんの項での、
「営業成績ナンバーワンのスター社員が必ずしも優秀な管理職になれるわけではない。聖子は自分にその能力がないと知るや、あっけないほど潔く身を引いた。そこにプライドは持ち込まない。長く居座り続ける老経営者には、この視点が欠けているのではないか。」
という一文は、書かれた時期(2016年8月6日)から考えると明らかに、結局解散した"あの国民的グループ"の所属事務所の経営者に向けられている、鋭い刃だと思う。
そして、「ミヤネ屋」の「宮根誠司さん」についても書かれていますし、私の先輩の「辛坊治郎さん」まで出て来て「おやおや・・・」と思っていたら、その辛坊さんが「あとがき」まで書いていました。結構、仲良しなんですね、辛坊さんと城下さん。
あと、ほとんどの登場人物は「褒められている」のだが、一人だけ、
「強く反省を求められている人」
がいた。よっぽど・・・なんでしょうね。辛坊さんではありませんよ。それが「誰なのか」は、本を読んでくださいね。
star4
(2018、4、4読了)
2018年4月 6日 21:54
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