新・ことば事情
6761「無期懲役の実刑判決」
2015年8月、東京・中野区のマンションで劇団員の女性が殺害された事件で殺人罪などに問われた戸倉高広被告(39)に対し、東京地裁は3月7日、求刑通り「無期懲役」の判決を言い渡しました。このニュース、「ミヤネ屋」のテロップでは、
「無期懲役の判決」
と出しましたが、東京地裁からの中継で鹿内リポーターは、
「無期懲役の実刑判決」
と言っていましたが、「無期懲役」の場合は「執行猶予」は付かず「実刑」に決まっているので、「実刑」は付けないで、
「無期懲役の判決」
のほうが良いと思います
しかしネット検索をしてみると、「毎日新聞」の「3月7日 18時27分更新」の記事では、
「無期懲役の実刑判決」
と「実刑」を付けていました。その前の「3月7日17時06分更新」では「実刑」は付いてなかったのですが。
また、「読売新聞」(3月7日20時40分更新)、「東京新聞」(3月7日 17時12分更新)と「朝日新聞」(3月8日02時05分更新)は、「実刑」を付けずに、
「無期懲役の判決を言い渡した」
でした。
そして「産経新聞」(3月7日 19:54更新)と「日経新聞」(3月7日 19:02更新)も、も、「実刑」も「判決」も付けず、
「無期懲役を言い渡した」
でした。
毎日新聞の校閲の知り合いに聞いたところ、「無期懲役の実刑判決」について全社的なルールはないそうです。しかし、「無期懲役」「実刑」でデータベースを検索してもほとんど出て来なかったようなので、現場の記者としては、
「『無期懲役の実刑判決』とは、なるべく書かないようにしているようだ」
とのこと。しかし「間違い」とは言えないのと、
「『無期懲役には執行猶予は付かない』ということが一般の人にとって常識とも思えない」
ので、校閲としては、
「ダメと言っていない」
のだそうです。