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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_039

『人生の持ち時間』(曽野綾子、新潮新書:2017、10、20)

曽野さん、1931年生まれ。今年87歳になりますか。「作家」というよりも「日本財団トップのおばあさん」というイメージが強い(1995年~2005年。もう辞めたのだけれど)。"民間の立場での政治家"というイメージ。しかも「超右寄り」の強気の発言。それは一本、筋が通っている。昔、長男のことを書いた『太郎物語』とか、素朴で面白かったけどな。この本、帯には、

「変更できない運命の部分と、どう向き合うか。建設的に生きるための15話」

とあります。途中で「おっ!」と思ったのは112ページの、アフリカ開発に関する以下の記述です。

『アフリカ開発の大きな問題は、大きく言って二つある。一つはネポティズムと言われる身内びいき、馴れ合い体質であり、もう一つがコラプションという言葉で表される汚職体質である。いつかBBCな放送を聞いていたら、「コラプションの行き着くところは貧困」と言っていた。まこと明快な定義である。』

今これを読んだら、この中の、

「ネポティズムと言われる身内びいき、馴れ合い体質」

これって、

「アフリカの話じゃない、まさに日本の話じゃないか」

と思いますが、曽野さん、アフリカの話にたとえて、安倍首相に注意を促していたんですか?

去年亡くなった夫・三浦朱門さんの思い出を書いたところは、いつもの男性顔負けの(と言うか、曽野綾子さんの性格は、きわめて男性的)面は影を潜め、「妻」として亡き「夫」を懐かしく愛しく偲ぶ内容になっていて、

「ああ、これが『太郎物語』を書いたころの曽野綾子だなあ」

と思った。そして、1964年の東京五輪のポスターのロゴデザインを手がけた、

「亀倉雄策氏」

と三浦朱門が「竹馬の友」で(三浦の方が11歳年下だが)、「仲人」も頼んだ仲だったということを、初めて知った。もう半世紀以上前のことになるのですね。

そのほか、細川護煕さんから柑橘系の苗12本をもらった(そのうちの一本が「晩白柚(ばんぺいゆ)」という話や、競馬の「ダービー」の距離は「12ハロン(2400メートル)」で、「ハロン」というのは「ファーロング(furlong)」(=「8分の1マイル」=「約201メートル」)という、英語の距離を表す単位であることなども、初めて知りました。タイへ延勉強になった「15の話」でした。


star4

(2018、3、19読了)

2018年3月20日 21:27 | コメント (0)