新・ことば事情
6755「名門大洋フェリー2」
名門大洋フェリーの「ふくおかⅡ」が、兵庫県明石市沖のブイに接触して立往生しているというニュースを、3月19日のお昼のニュースで放送していました。この、
「名門大洋フェリー」
に出て来る、
「名門」
という言葉。
「高校野球の名門」「焼き肉の名門」
など、比喩的に使われますが、もともとは、
「名家の一族」「由緒ある門地や門閥」
という意味ですよね。でもこの「名門大洋フェリー」の「名門」は、そういう意味ではありません。母体企業の一つが「名門カーフェリー」の社名で、
「名古屋―門司」
を結ぶ航路を設定していたことに由来して「名門」なのです。
「大阪と神戸」=「阪神」
「京都と大阪」=「京阪」
「大阪と和歌山」=「阪和」
「大阪と奈良=「阪奈」
「東京と名古屋」=「東名」
「東京と横浜」=「東横」「京浜」
「東京と八王子」=「京王」
などと同じです。「京王」も意外ですよね。
「なんか、自分で『名門』と付けるなんて、偉そう!」
と思っていた人、いませんか?違いますよ。私も以前はそう思っていました。すみません。一方、
「天才!上岡竜太郎です」
は「天災」ではありません。ご自分で「天才」とおっしゃってました。だから、笑いが取れるんですね。
フェリー会社では、このほか、
「阪九フェリー」
というのがあって、読みが「はんきゅう」なので、よく、
「阪急フェリー」
と間違われますが、これは読んで字のごとく、
「大阪と九州」
を結んでいるのですね。
同音異義語の多い日本語ならでは、といった勘違いですね。
(追記)
えー、検索してみたところ、全く同じタイトルで、14年前に同じようなことを書いていたことが判明しました!
「平成ことば事情1933名門大洋フェリー」
です。表現などは、もちろん違いますが、言いたいことは同じでした。そちらもお読みください。ということで、この「平成ことば事情6755」は、「2」を付けて、
「名門大洋フェリー2」
にさせていただきます。
(2018、3、21)